MJアーカイブス

メーカー一覧: 車種一覧:

フェラーリ テスタロッサ

日付/2009.09.27


元祖ご神体/テスタロッサ

 

 実は、私が最後にテスタロッサを運転したのは90年代初頭で、詳しいことはほとんど忘れているのですが、なにせテスタロッサは、私の脳天に初めて落ちた神の一撃。想像を絶する破壊力でした。

それは、言うまでもなく池沢早人師先生のテスタロッサでした。ケーニッヒマフラーはアクセル一吹きで衝撃波が発生。渋滞の新青梅街道をトロトロ走っただけでとてつもない快感が脳天を直撃し、以来私は"目的を持たない神のようなクルマ"フェラーリ様に帰依する大乗フェラーリ教信徒となったのです。

 あの頃のフェラーリと今のとの決定的な差は、ロクデナシ度にある。あの頃、なぜ私がテスタロッサを"目的を持たない神のようなクルマ"だと思ったかと言うと、すぐ壊れるし取り扱いが面倒だし、ブレーキが全然ダメで操縦性なし(この頃のフェラーリはすべてケツが出たら一巻の終わり)、まっすぐ以外はまるで速く走れないしで、結局全然人の役に立たない(だろう)と思ったからだ。それでいて人をひざまずかせひれ伏させるオーラに満ち満ちていたから、「ああ、これはご神体なんだな」と悟ったわけです。

 新しめのフェラーリは、あんまり壊れないし取り扱いもラクだし鬼のように速く走れる。まぁそれでも人をひざまずかせひれ伏させるオーラを持つご神体には変わりないが、そういった現世利益が得られてしまう点は、純粋さの点ではマイナスですね。テスタの頃は、高い金出して苦労を買うだけだったのに。あの頃のフェラーリは、飢えた虎をかわいそうに思って自分を食わせるお釈迦様にも似て、大変ピュアだったと思います。

 しかし、自分がいざ12気筒を買う段になると、テスタではなく512TRを選んでしまった。テスタよりはブレーキも効くし操縦性もいいし、サーキットでもF355を追い回せるからなんて、様々な現世利益の誘惑に負けてしまった。私にとってテスタロッサは、フェラーリ信仰の原点であるだけでなく、越えられない高い壁ということになりましょうか。

 


投稿する
一覧を見る

フェラーリ カリフォルニア

日付/2009.09.22


 本音を言えば、私はイタリア車にGT性を求めていない。GT性とは、女性で言えば「すこーし愛して、長ーく愛して」であって、一瞬で人生を燃焼し尽くすような熱いイタリアン・スポーツには、求めてはいけない性格だからだ。

 中でもフェラーリはその最たるもの。たとえマラネロの本社が「これはGTだ」と主張するモデルでも、実際にGTとして使う人などいやしない。なぜなら、フェラーリは走ると減るクルマだからである。走ると減るのだから、どうせ減るなら徹底的に、真っ白い灰になるまで燃焼させたいじゃないか。フェラーリでグランドツーリングに出るなんて、エリカ様に炊事洗濯をやらせるようなもの。美の浪費以外の何物でもない。と言いつつ自分のフェラーリでソウルまで走ったこともあるのだが、それはフェラーリの間違った使い方である。

 しかし今度のカリフォルニアは違う。これはGTだ。華麗なるイタリアンGTそのものだ。ただし、決して「すこーし愛して、長ーく愛して」ではない。かなり激しく、しかし割と長く愛せる、新たなフェラーリの世界を切り開いたGTだ。

 とにかく身構えずに乗れる。着座位置が高く視界がいい。ボディが適度にコンパクトで取り回しがいい。サスペンションが驚くほどしなやかでストローク量が大きい。クイックでステアリングインフォメーションに富んだターンイン、FRらしい素直でコントローラブルな操縦性。これらは、フェラーリに人生を賭ける破滅願望系の人間にとっては、本来すべてマイナス評価の対象だが、カリフォルニアの場合はすべてがプラス評価になってしまう。なぜなら、このクルマは中途半端じゃなく、徹底的だからだ。

 いいとこ取りのヴァリオルーフを装備した、超軟派なオープンモデル。ボディもかなり重い。しかもオープン時よりクローズド時の方がスタイルもいいから、「たまには屋根を開けなくちゃ」という強迫観念も生まれない。何にも縛られず、要求されず、ただ優雅に楽しむだけ。そこには甘い生活だけがある。あのV8ミッドシップフェラーリが持つビリビリ感はまったくない。

 しかし、フェラーリはフェラーリ。エンジンは常に本気だ。4・3リッターエンジンはフェラーリとして初めて直噴化され、吸気・排気の双方に可変バルタイ機構も装備している。フェラーリエンジンらしく、高貴なブリッピング一発で目頭が熱くなり、レッドまでブチ回せば魂は激しく燃焼するが、軽く流すのもいい。ここが重要だ。V8ミッドシップの場合、軽く流すのは美の浪費だが、カリフォルニアならひとつの愛し方。それが新鮮だ。

 ミッションはフェラーリ初のデュアルクラッチ式なので、従来のF1マチック系と違い一瞬のクラッチ断続感がない分、F1気分は薄い。代わりに低速域でのギクシャク感はほぼ皆無、タイムラグも当然皆無だ。

 カリフォルニアは、ワインディングを飛ばすのもいい。ミッドシップフェラーリはサスペンションのストローク量が少なすぎて、ワインディングを走っても結局楽しいのは音だけだったりするが、カリフォルニアは違う。シューマッハ様がチューニングしたというストローク量たっぷりのしなやかなサスペンションは、ゲルマン製GTのごとく、路面の凹凸をものともせず、しなやかに突っ走ってくれる。外から見るとビックリするくらいロールしてるが、だからこそワインディングを甘く軽やかに駆け抜けることができる。

 乗っていて直感した。私はいずれこのクルマを買うことになるだろうと。そして、この華麗なイタリアンGTが演出するステキな生活を目指すだろう。それは恐らく7年後。それまではV8ミッドシップで魂を燃焼させることにしよう。

(『ENGINE』2009年10月号より)


投稿する
一覧を見る

フェラーリ F430

日付/2009.09.17



 全世界のフェラーリファン待望のV8ニューモデル、F430。
 確かにものすごい性能だった。
 しかし私は、どこか物足りなさも感じた。
 正直、モデナの2倍近いお金を払ってまで欲しくない、と思った(そんなカネないが)。それより、モデナに自分で少し手を入れたほうが、はるかに安上がりで、しかも楽しいんじゃないか?

 F430をフル加速させても、あまり速いという感覚がない。性能曲線はモデナと瓜二つのはずなのに、実際のフィーリングは、盛り上がりのない超フラットトルク。上で爆発的に吹け上がるモデナに比べると、まったくドラマ性に欠ける。

 F430のコーナリングは異次元だ。まさに、クルマが勝手に曲がって行く感覚である。要因としては、まず重心が下がっていること、空力が改善されたこと、それと、Eデフ(電子制御ディファレンシャル)に代表されるF1張りの電制技術がある。
 だからこそ、F430はCSTをカットすると(自動的にEデフもカットされる)、驚くほど限界が低くなり、「えっ、こんな速度で?」と思う段階でリヤが滑り出してしまうという(怖いので自分でやったことはないっス)。
 つまり、それほど電制に支えられているのだ。

 F430に乗っても、すべて「乗せられている」感覚で、自らリスクを背負って死と隣り合わせの快楽を貪るような破滅的な美の暴力は感じられないのだった。


投稿する
一覧を見る

フェラーリ チャレンジストラダーレ

日付/2009.09.17


 俺がこの世で一番頭の血管が切れそうになるクルマ、それがフェラーリ・チャレンジストラダーレ!
 だってだって、360モデナを25馬力増強して、さらになんと110kgも軽量化してるんだから! 110kgってったらとてつもない数字だからね。エアコンもオーディオも付けたままなのに、フツーそんなことぜってー不可能なはず。
 サスにチタンを使ったりしておるらしいが、なんて甘美なゼイタクなんでしょう‥‥。

 実際乗ってみると、軽い! マジ軽いっすよ! 小雨がパラつき始めた峠で、ド新車ってことでリミット6000rpmに自主規制して全開かましたが、コーナリングでは曲がり始めのレスポンスから舵の効き、すべてが違うし、サスペンションは超スポーティでありながら恐ろしいほどしなやかで、乗り心地も極めて良好。ド新車なのに‥‥。

 ブレーキングはさらに違う。安心感のカタマリ。軽い上にカーボンセラミックブレーキついてっからなぁ。しかもABSの制御が別物。
 ハンドル切りゃ死ぬほど曲がりまくり、サスはしなやかに動いて路面を離さず、さらにはブレーキがバカみたいに効くので、タイト&ウェットな峠の下りでも、鬼のような勢いで爆走できちまう。なんじゃこりゃ‥‥。

 チャレストに試乗した直後、同じ峠を俺のウルトラスーパーカーで攻めてみたら、この死ぬほどすばらしいはずのウルトラスーパーカーが、ハンドル切るたびにモッサリ重く感じやがる。この、本来ハンドル切る前に曲がり始めるモデナ様が! ブレーキもヤケに頼りなく感じてねぇ。初めて乗った時は「このクルマなら瞬間停止できる!」と確信したのに。チャレストに対してウルトラスーパーカーは、ウェットの下りが明らかに怖かった! があぁぁぁぁぁぁ~ん。

 いや、フツー攻めないんだよ、ミッドシップマシンでこういうコンディションだったら。だからウルトラスーパーカーはこれっぽっちも悪くない。チャレストが異常なの。
 ただ、音に関しては、炸裂感、音質ともに、モデナ+キダスペシャルの方がはるかにすばらしかった。

 ということで、音を除けばチャレンジストラダーレはあまりにもスバラシイ。本当にスバラシイ。チタンを使いまくり、モデナの弱点であった重心の高さをリヤアクリルガラスなどで克服し、空力的にも改善し、それでたったの2130万円(税抜き)というのは、恐ろしいほどお買い得だ。まさにやられたぜって感じである。


投稿する
一覧を見る

フェラーリ 360モデナ

日付/2009.09.17



 モデナの走りはスバラシイ!
 でも、モデナの走りはアブナイ!

 ウルトラスーパーカー(黒の360モデナ)を買って、その8日後に筑波サーキットを攻めてみたら、とっても怖かった‥‥。「モデナは限界域で怖い」とは聞いてたけど、実際にその怖さを体験すると、聞くより全然怖かったよ!

 とにかくリヤが不安定で、コーナー立ち上がりでどこにスッ飛ぶかわかんない。348みたいに、リヤサスの取り付け剛性不足とかそういうのは全然なくて、オールアルミボディは巌のようにガッシリしてんだけど、なぜかお尻は極めて不安定だ。
 これは、リヤの重心が高すぎるからなんだよ!(たぶん)

 空力面にも問題がある。360最大のウリだったリヤ下面のディフューザーが実はほとんど効いてないらしくて、高速域になればなるほど、リヤが落ち着かなくなる。
 ポルシェ911が基本的にそうでしょ。リヤセクションのボディ傾斜が強すぎるせいで、リヤの乱流が生むリフトをどうしても抑えられなくて、スピードが上がるほど不安定になる。だからターボモデルとかは、でっかいリヤウイングでお尻を上から押さえ付けてるよね。
 モデナもでっかいリヤウイング背負えば劇的に改善されるはずだけど、フェラーリ本社は、美学としてそれをやらない。おかげで、まるで初期型348みたいに、「170でもう怖くて踏めない」って言うケースも。

 でも、フロントワイドトレッドのおかげで、恐ろしいほど曲がる! ボディがハチロクみたいに軽くて超高剛性のオールアルミボディだから、ビリビリするほど曲がる! ちょっとよそ見してるスキにガードレールに激突全損しちゃうくらい曲がりまくる! このビリビリ感がフェラーリだよね!

 エンジンも最高。エンジンはフェラーリの魂だから最高なのは当然だが、サウンドもF355みたいなF1絶叫系とは違うコブシの効いた重みのあるもので(キダスペシャル装着の場合)、まったく飽きが来ない。

 軽いボディと超絶パワフルなエンジンの組み合わせにより、加速感はF40やF50と比べてもあんま変わんない‥‥ように感じる。だってスタビリティが低いから!
 結論として、360モデナは、男のマシンなんだよ! 男なら乗るしかないよ!


投稿する
一覧を見る