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高速道路問題 2001年6月 道路行政建白書

日付/2011.01.21




(ここ10年間の私の交通ジャーナリストとしての活動を知っていただくために、過去の記事を収蔵させていただくことにしました)

<2001年6月 週刊SPA!>

 小泉内閣の発足により、道路行政にも変革の波が押し寄せている。いままで「こうすりゃいいのに」と誰もが思いつつ決して実行されようとしなかった施策が、マジメに議論され始めた。この機に乗じてSPA!もなんか言わねばなるまい。
 6月11日、国土交通省は、ETCの普及促進策について発表を行った。それによると、ETC設置車は、2年間と期間を限定した上で、高速料金2割引きという開店記念特別バーゲンを実施するという。現在のハイウェイカードだと、最大割引率は約14%だから、それより6%も多い。しかし、こんな但し書きがついていた。
「割引額の上限は、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団の3社でそれぞれ1万円つづ、合計3万円まで」
 なんだこれは。国土交通省は「合計3万円割引けば、ETC車載器の設置費用にほぼ充当でき、普及が進む」と寝言を言っているらしいが、いったい東京と大阪を均等に往復しつつ、2年間で3万円の割引き枠のみキッチリ使い切るドライバーがいるのか!? よしんばそういう人が実在しても、3万円っぽっちじゃETC車載器設置費用の一部を取り戻せるに過ぎないから、実質割引額はゼロかマイナスだ。それでは「新しもの好きの左ハンドル車オーナーくらいしか買わない」という現状はなんら変わらない。
 いったいなんのためにETCを導入するのか。料金所渋滞の緩和と利便性の向上、プラス都市部での交通コントロールへの応用(時間帯による料金の変動や都市高速への距離制料金の導入)である。そのためには、より多くのクルマに普及させなければならない。普及させるためには、有利な投資である必要がある。有利な投資だと誰もが思えば、ETC車載器の売れ行きは急速に伸び、量産効果によって価格は大幅に下落し、さらに普及が進む。竹中平蔵先生でなくても理解可能な単純な経済理論だ。よって第一の建白。
「ETCについては、今秋から2年間は期間限定で20%引きを実施し、それ以降はなるべく早期にプリペイド方式を導入し、ハイウェイカード同様の14%引きとせよ」


 次。道路特定財源の一般財源化について。小泉内閣は推進する構えだが、当然そうすべきである。
 私は昨年秋旭川から稚内まで往復し、あまりの道路のよさにめまいを感じた。しかし同時に、交通量もめまいを感じるほど少なく、大雨が降ると黄色い「道路維持車」が異常なほど多数出動し、道路の損壊に備えていた。道北では、道路建設とその維持が最大の産業と化しているのである。こうして道路特定財源が食い物にされている。道路特定財源というワクがある限り、こういったムダがなくなる見込みはない。ならば廃止するしかない。
 道路特定財源だけでなく、財政投融資資金もドブに捨てられ続けている。誰も走らない高速道路の建設である。一例として旭川から稚内に通じる北海道縦貫自動車道は、いま建設たけなわだ。
 しかし旭川ー稚内間の一般道に渋滞など存在せず、しかも時速90キロ以上で流れている。対する高速道路は、大部分が片側1車線の暫定開通ということで、制限速度が70キロであった。そんな道路を高いカネ払って走るバカが滅多にいないことは、言うまでもない。
 どうせ公共事業をやるなら、建設によって経済効果がさまざまな分野に波及するものを優先べきなのは当然。するとすぐ浮上するのが「IT関連」だが、ITがどれだけ普及し、なんでもネット通販で買えるようになっても、最終的にモノを自宅に届けるのは、道路を使った物流だ。ITが進むと人の移動が不要になると思われがちだが、物流はかえって増加する。よって、経済効果が上がる道路を選んで建設すれば、極めて有効な経済対策になる。竹中平蔵先生でなくてもわかりますよね。
 経済効果の高い道路とは、具体的には首都圏の3環状高速(首都高中央環状線、外環道、圏央道)と第二東名・名神である。渋滞による経済損失額(年間)は、東京がブッチギリの全国トップで1兆5507億円。対する鳥取県は525億円と約30分の1以下だ。そういった現状を考えれば、おのずと投資先は見えて来よう。
 ただし、ただ単純に造ればいというものではない。アクアラインや本四連絡橋みたいなバカなモンは2度といらない。真に役に立つ道路でなければならない。
 首都圏の環状高速は、都心を迂回し交通をスムーズに流すために建設される。しかし、迂回は往々にして遠回りになる。現状では遠回りすると料金が高くなるから、都心を突っ切る。これではなんの解決にもならない。
 そこで、首都圏3環状、特に外環道と圏央道は料金を低く抑える必要がある。ここで第2の建白。
「緊急の必要性のない、ムダな道路建設(高速道路を含む)はすべて即刻中止。道路特定財源を一般財源化した上で、その一部を集中的に外環道と圏央道に投入し、早期に完成させ、料金を通常より大幅に安くする」
 2本とも巨額の建設費が必要ではあるが、道路特定財源1年分(約5兆7000億円)でまかなえる。完成すれば経済効果は莫大。これぞ現代日本のニューディール政策である。


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高速道路問題 2010年9月 私の高速道路 新料金案

日付/2010.09.13




次の総理大臣に
言っておきたいことがある

 この秋には新たな高速道路料金を決めないと、来年3月いっぱいで終了になる「休日1000円上限制」の後釜の実施が厳しくなる。
 誰が総理であろうと、料金制度には経済的合理性がなければならない。私が考え抜いた合理的な料金制度はコレなので、つべこべ言わずに参考にしてほしい。


「休日1000円」で渋滞は7割増えた

 まず、「休日1000円上限」は断固廃止する。混雑する日を割引するというのは愚かな大衆迎合政策であり、経済的合理性はゼロだ。

 一昨年までの10年間で、高速道路の渋滞はおよそ半分に減っていた。これは路線の整備や渋滞対策、ユーザーの利用分散が進んだおかげだ。
 ところが昨年は「休日1000円」が導入されたことで、一挙に7割も増えてしまった。年間2500億円かけて、約7年分の努力をパーにしたのである。
 それで景気が良くなったならまだいいが、鉄道や航空機からクルマへの転換を促しただけで、本当に経済効果があったのかどうか疑問だ。廃止は当然である。


1日1万台以下は無料化か適当

 次に高速道路の無料化社会実験。いろいろ批判もあったが、実証結果は実に参考になった。まさかここまで交通量が増えるとは! 平均で2倍、路線によっては5倍近くにまでなったのだから。
 そして判明したのは、無料化は地方のガラガラ路線ほど効果が大きく、もともと交通量が多いところで実施すると、「交通量はそれほど増えずに渋滞だけ増える」というマイナス効果が大きいという事実だった。
 私は実験の実施前、「1日あたりの交通量が2万台未満の路線は無料にしても問題ない」と考えていたが、それは甘かった。費用対効果を考えると1万台以下が妥当な線で、現在の実験区間とかなりの部分でかぶる。地図のブルーで示した区間がそれである。
 無料化によって渋滞が発生した舞鶴若狭道や伊勢道、効果の薄かった西湘バイパスなどは除外。代わりに秋田道全線や米子道などを加える。無料区間の総延長距離は現状と大差ない。


料金は5段階制に

 そして有料区間。無料区間の隣がすぐに都市部と同レベルの料金になるのは、あまりにも差が大きすぎる。地方ほど一般道の流れが速く、しかも所得水準は低いのだから、その分高速道路を安くしなければ無用の長物のままである。そこで、1日あたりの交通量に合わせて料金を5段階に設定する。
1万台未満/日......無料
1~4万台/日......7割引
4~6万台/日......5割引
6万台以上/日......3割引
大都市近郊区間......現状維持

 5~7割引の区間が大部分になるが、交通容量に余裕があれば、安くすることで一般道からクルマが転換し、交通量が増えるので、減収幅は小さくなる。また、現状でも地方は常時3~5割引が実施されているので、「休日1000円」を廃止すれば、おおむね今の予算内で実施が可能だ。

 東名・名神など東阪間は基本的に3割引。このままだと夜間は現状より割高になり、深夜の国道を突っ走るトラックが増えるので、大型車は深夜に限って5割引。通勤時間帯の一般道の渋滞緩和のため、乗用車の通勤割引(100キロ以内5割引)も継続する。

 東京・大阪の大都市近郊区間は、鉄道など他の交通手段が豊富だし、もともと混雑しているので「これ以上走るな」ということで割引ゼロ。現状同様、通勤割引も対象外とする。


首都圏の観光路線は「休日割増」を

 加えて首都圏の観光路線は、混雑緩和のための「休日割増」を導入すべきだ。混む日は高くするのが経済原理に叶っているし、交通の分散を促すことにもなる。行列ができすぎて閉店するラーメン屋もある。混み過ぎは迷惑なのである。
 最も渋滞が激しい東名・中央は、休日に限り「100キロ圏内は割引なし」。インターで言うと東京―御殿場間、高井戸―勝沼間だ。冬季はウィンタースポーツ客で渋滞する関越(練馬―高崎間)にも適用する。


アクアライン800円は安すぎた

 東京湾アクアラインは現在、森田健作千葉県知事肝入りの社会実験で800円に割引されているが、これは開通当初の4000円に比べるとわずか5分の1。交通量の増加は3倍強だから、料金の減収幅は約4割に達する。平日は値下げのおかげで東関東道や京葉道路の渋滞が緩和されているが、休日には大渋滞が発生しており、安くし過ぎたのは明らかだ。適正な料金は、平日1000円、休日1500円だろう。
 そして懸案の外環道の建設や首都高のボトルネックの改良には、新東名の海老名―御殿場間の建設を凍結して予算を回す。スバラシイ。
 次の次期総理大臣様、あとはよろしく。(2010年9月 週刊SPA! より抜粋)


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高速道路問題 2010年7月 タダで外環道を造る法

日付/2010.09.04




大マスコミは
高速道路にまったく無知だ

 おいおい、6月28日から始まった高速道路無料化の社会実験、ガラガラだった路線は軒並み2倍3倍に増えてすごい効果じゃないか! 大マスコミは「地方のコマ切れ路線を無料にしても効果は疑問」とかボロカス言ってたが、地方にだってクルマはいるんだよ! ただ平均所得が低いし、高い高速走ったって大して時間短縮できないから使ってなかっただけ。それがタダになりゃ使う。
 そんなアタリマエのことすらわからなかったとは、実に日本の大マスコミは無能である。

 逆にもともと交通量が多かった路線は大して増えず、一部では渋滞も発生、しかも料金収入はゼロ。経済効果はマイナスだ。かねてより私が主張してきた「空いている区間ほど安く」という5段階料金設定の正しさがパーフェクトに証明された格好じゃないか。民主党は早く私のところに話を聞きに来なさい。

 と言ってもちーとも聞きに来ないので、仕方ないから日本のために、さらなる名案を提供しよう。「タダで東京外環道を建設する法」である。


どうすれば外環道が
タダで造れるのか

 東京外環道は、建設は決定しているが、民主党の新規公共事業抑制方針によって予算が付かず、例の「高速2000円上限案」で割引用の資金を回して建設しようとしたが、世論の総スカンを食らってお蔵入りした。おかげで、この日本中で最も経済効果が高いと思われる路線が、現在も未着工のまま宙に浮いている。

 では、どうすれがそれがタダで建設できるのか。
 新東名の御殿場から東京寄り(御殿場JCT-海老名南JCT間)の建設を凍結し、その1兆2000億円の建設費を流用するのである。

 新東名の御殿場以西は順調に建設が進んでいて、2年半後には浜松まで、4年半後には豊田まで全線開通する。東名の御殿場―豊田間はもともと4車線しかなく、ちょっと事故や工事があると即渋滞してしまう恒常的な混雑区間だ。ここが複線化されるのは日本経済にとって間違いなくプラスである。

 しかし御殿場―海老名間は、すでに全線6車線化以上の工事が終わり、交通容量には余裕がある。もちろん複線化された方がいいことはいいが、どうせ海老名から東京寄りはルートも未決定だし、恐らく未来永劫建設はムリ。最大のネックである大和トンネル付近の交通容量はそのままだから、週末の渋滞も延々と続く。その外側を複線化しても、緊急時の迂回路以外の機能はあまりなく、経済効果も薄い。

 ならば、御殿場―海老名南に関しては、用地買収のみ進めて工事は凍結し、その資金を東京外環道など重要度の高い路線の建設に回すべきなのである。


新東名の御殿場-海老名間を
建設凍結して資金を回す

 御殿場―海老名南間は、NEXCO中日本が2020年度中に完成させる協定が結ばれている。建設費はNEXCO中日本全体の料金収入によって賄われる予定で、国費の投入はゼロ。つまり、ここの建設を凍結して他に回せばタダで造れる。一種の埋蔵金である。

 用地買収費を除いた工事費は約1兆円。これだけの資金があれば、東京外環道(国費負担分は8000億円)に加えて、東名・大和トンネル前後の拡幅や、首都高の渋滞ポイント2か所(小菅―堀切間と板橋―熊野町間)の拡幅費用も賄える。すばらしい名案じゃないか。

 別に御殿場―海老名南間がいらないというわけではない。長期的には完成が望ましいが、あくまで「長期的には」だ。だったら、東名や首都高の渋滞という喫緊の課題の解決を優先すべきであることは自明。御殿場―海老名南間は、いつか国の財政が再建されて、余裕ができた時に改めて着手すればいい。
(2010年7月 週刊SPA! より抜粋)


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高速道路問題 2010年3月 第二京阪道路開通

日付/2010.08.30




京阪間の新たな大動脈
開通効果は絶大だ


 無料化から撤退し通勤割引もやめ長距離割引に統一を図るも、世論の反発を恐れて参院選明けまでは現状維持......という、も~理念もヘッタクレもなくなっている民主党の高速道路政策だが、それとは一切無関係に新規路線の建設は粛々と行われ、3月末には実に重要な路線が2本開通した。

 その1は、首都高の中央環状新宿線。その2は、京都と大阪を結ぶ「第二京阪道路」だ。
 第二京阪は、名前だけ聞くと地方の県道みたいだが、中身はすごい。総額1兆円以上をかけた6車線のピカピカの高速道路(と並行する一般道)なのだ! 関西の第三京浜と思えばいいでしょうか。
 しかも第二京阪は両端で高速と接続してるので、ネットワーク効果は第三京浜と段違い。関西の道路交通に革命を起こす大動脈だ。

 これが完成したことで、名古屋から大阪までの高速道路はほぼ完全に複線化され、8車線以上が確保された。これまで渋滞の名所だった名神の高槻バス停付近も、大いに改善が期待できる。
 今後関西に残る大渋滞ポイントは中国道の宝塚トンネル付近のみ。こっちは新名神の高槻―神戸間が開通する平成30年度までそのまんまだが、京都―大阪間がスムーズに流れるだけでも関西の未来は少し明るい。


京滋バイパス上り・
瀬田東JCTの問題点

 だた、京阪間にもまだ問題はある。
 第二京阪は、途中から京滋バイパスにバトンタッチして滋賀県の瀬田東JCTで名神に合流、3キロ先の草津JCTで新名神と分流し、別ルートで名古屋へ向かう。
 3キロの合流区間は、4車線+4車線の8車線が確保されている。また、京滋バイパスの下り線側も、瀬田東JCTから問題なく2車線が分流している。おかげで、開通直後の3連休、ここから大阪(門真)までほぼまったく渋滞が発生しなかった! 絶大な効果だ。

 ところが反対の上り線側は、JCT手前で京滋バイパスが2車線から1車線へと狭くされちゃってるんだよ! しかも、もともと2車線で造ったのを、わざわざ1車線ふさいで、わざと渋滞を作っている!
 実はここ、上り線側だけ曲率のキツいループで名神に連結されることで事故が多発。対策としてわざと狭くしてあるのだ。そのせいで休日には渋滞が発生、最後尾では追突事故が多発している。なんという愚行!
 NEXCO西日本に問い合わせても、「改良の計画はありません」。せっかく1兆円かけて第二京阪を作ったのに、これじゃ上り線の渋滞は解消されない。
 昨年、橋下大阪府知事は、京滋バイパスを「日本の大動脈にはなり得ない」と言って、新名神の建設凍結区間(大津―高槻間)の復活を要望したが、確かに上り線に関しては大動脈にはなり得ない。だって片側1車線だから。
 でも、ここさえ改良すれば大動脈化は可能。新名神の建設凍結区間の200分の1の予算で可能なはずだ。こんな有意義な節約は滅多にない。サッサと着手してくれっつーの!

(2010年3月 週刊SPA! より抜粋)


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高速道路問題 2010年2月 無料化社会実験の是非

日付/2010.08.30


高速道路無料化実験区間は、割と真っ当な選択だ


 民主党の高速道路無料化社会実験の評判が極めて悪い。曰く、「地方の交通量の少ないコマ切れ路線や盲腸線ばかりが目につき、これで社会実験になるのか」とか、「経済効果についてはまったく疑問だ」とか。
 しかし、これらの路線をおおむねすべて走り、かつ並行する一般道も実走した経験のある私に言わせれば、1000億円という予算を考えると、この実験区間の選定には70点くらいつけられる。道路官僚の皆様が、データと首っ引きで一生懸命考えたのがよくわかる。


地方のコマ切れ路線だからこそ
無料化する必要がある

 まず、「地方の交通量の少ないコマ切れ路線や盲腸線ばかりが目につく」という指摘だが、逆である。コマ切れ路線や盲腸線だからこそ、有料じゃ利用価値がないんじゃないか。コマ切れ路線や盲腸線だからこそ、無料化する必要があるのだ!

 たとえば山陰道。名和ICから出雲ICまで開通しているが、この高速、以前から無料区間と有料区間が混在している。無料区間は最大2万5千台/日の交通量があるが、有料区間はそれが8千~2千台へと恐ろしいほど下がっちゃう。みんなタダの区間だけ走って、有料区間は国道を使うからだ。山陰の平均収入の低さを考えれば当然の行動だ。おかげで朝夕は国道が渋滞する。
 でも全部通して無料になれば、地域の人はかなり便利になるんだよ! そりゃさ、その経済効果なんざ微々たるもんだろうし、それで地域の景気がよくなるわけじゃないけど、せっかくあるモンを使って、時間やガソリンを節約するのは、間違いなくいいことじゃないか! 

 コマ切れの東九州道もすべて無料区間になっているが、そっちにも似たような効果が期待できる区間がある。

 新潟県の日本海東北道の無料化も、大いに効果が期待できる。ここは、並行する新新バイパスが膨大な交通量を抱え、朝夕の渋滞は深刻なのだ。しかし並行する高速がタダになれば、渋滞は大幅に緩和されるだろう。

 もちろん、疑問の残る区間もある。秋田県ではなぜ河辺JCT-秋田中央IC間が有料区間で残されたのかとか、安房峠はなぜタダにするのかとか。首都圏では、新湘南バイパスと西湘バイパスが無料になるが、その間の平塚―大磯間は高速がなく、結局そこで国道が大渋滞するので、両端の高速をタダにしたところで効果はほとんどなかろう。「首都圏にも多少無料区間がないと」という意図が透けて見える。

 しかし全体としては、無料化しても渋滞が発生しない、利用価値の低い区間をタダにするというのは至極まっとうな選択だ。それを批判するマスコミこそ、高速道路の実情を何もわかっていない。混んでる路線をタダにする実験なんざ、いいことあるわけないんだからやる必要なんかないだろうが!


最大の問題点は
通勤割引の廃止だ

 しかし、より大きな問題は別にある。
 民主党は、現在の複雑な割引をすべて廃止し、もちろん土日休日の「1000円高速」もやめ、全日2000円上限(普通車の場合)を検討中と伝えられていることだ。
 現在、通勤割引や深夜割引には、年間約5000億円の税金が投入されている。プラス、「1000円高速」は2年間限定ながら年2500億円、合計7500億円。無料化社会実験の1000億円なんかより全然予算規模がデカいのだ!

 中でも問題なのは、通勤割引の廃止だ。通勤割引とは、朝夕の時間帯、利用距離100キロ以内に限って、料金を5割引きするという一種の短距離割引制度。日常的に使う人が割引の恩恵を受ける通勤定期みたいなものだ。これができたことで、地方都市の通勤車がかなり高速に流れ、一般道の渋滞が緩和された。

 ところがこれを廃止して、上限2000円に統一されたとしたらどうなるか。割引されるのは長距離客だけになるじゃないか! 通勤でクルマを使わざるを得ない地方の人には大きな打撃だ。もちろん朝夕の一般道の渋滞は悪化する。
 長距離だけを割引するということは、「長距離はクルマがおトク!」になるってことだ。現状、鉄道や飛行機が担っている部分が、クルマに転換することになる。飛行機はともかく、鉄道のエネルギー効率は自家用車の10倍近い。その利用客がクルマに流れたら、二酸化炭素25%減つー鳩山さんの無謀な目標に完全に逆行するじゃないか!

 無料化実験以外の割引制度がどうなるか執筆時点では未発表だが、これは日本の交通役割分担の方向性を決める重要項目だ。日本の将来を考えたら、高速道路は、短距離割引に特化するのがあるべき姿。たとえば地方では「50キロまでは7割引き」とか。大都市部には割引なんざ必要ない。電車があるだろが!

(2010年2月 週刊SPA! より抜粋)


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