MJアーカイブス

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フェラーリ F50

日付/2009.11.05


 キーをON位置までひねり、F40より一回りデカいボタンを押してスターターを回してエンジン始動。2本の針しか見えなかったインパネが、パーッと赤と黄色に浮かび上がる。まあキレイ。ウットリ。
 今でこそノンパワステ・6速MTのF50は、相当クラシカルな存在だけど、それでもやっぱり未来から来たUFO的なるオーラを激しく放っている。
 軽くブリッピングをかますと、フォーミュラ・ニッポンみたいなサウンド&レスポンスで「ダン!ダン!」とエンジンが吼える。フツーのブリッピングはブワーンブワーンだが、F50は「ダン!ダン!」。
 やはりエンジンを直にボディにボルト止めしてあるダイレクトマウントというヤツは、本当に本物のピュアレーシングカーとイコールであって、快適性とは完璧に訣別している。それは脱水中の洗濯機の上に座っているようなもので、どんなにステキな内装や高価なシートを驕っていても、洗濯機の上は洗濯機の上なのだ。
 40は市販車ベースのマシンであって一種のチューニングカーだけど、50は生まれながらのピュアレーシングカー。F50を公道で走らせる瞬間は、ただひたすら、本物のマシンが放つスーパーなオーラと、レーシングカーを公道で走らせる緊張感とでヘトヘトになる。
 スペチアーレは運転するものに非ず。鑑賞するものなり! というのが、私が得たひとつの悟りである。


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フェラーリ F40

日付/2009.11.05




 駐車場にF40が入ってきた瞬間、あんまりカッコいいんで引っ繰り返りそうになった。
 初めてナマのF40に接したのは、えーと、14年くらい前かな? 14年たってもいまだにコレだからな。
 いや、考えて見ると、「14年たってもいまだに」じゃなく、「14年前に惚れたからこそ」なのかも知れない。つまり、初めてF40を見る若い方はまた違う感じ方をされることと推察いたしますが、私はF40を見る度に、ああ死ぬほどカッコいい、地上にこれ以上カッコいいクルマはない、と思うのであります。MAX最大限に美しいのは288GTOだけど、MAX最大限にカッコいいのはF40。
 見てもカッコいいが、乗るとまた狂ったようにカッコいい。重いクラッチを踏めばクラクラし、ノンサーボのブレーキには総毛立つ。ゆっくり流してその野太いターボの排気音にヤラれる。「ぱぁーん!」と全開加速をくれれば、このまま私を死なせて下さい‥‥。
 赤き狂獣・フェラーリF40は、言うまでもなく、とてもとても危険なクルマである。それは、たった1度ではあるけれど、F40をサーキットで試乗した経験を持つ私にとって、骨の髄まで沁み込んだ観念だ。
 今回オレは、約4年ぶりにF40に乗って、触って、危なさは承知の上で、それでもやっぱりそのあまりのカッコ良さに、改めて「欲しい」と思った。置き物として。
(2002年 ROSSO)


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フェラーリ 288GTO

日付/2009.10.21


嗚呼、幻のGTO。オレを思いきり抜いてくれ‥‥。


 オレが知ってる範囲で一番美しいクルマ。
 それは、フェラーリ288GTOだ。
 日本語で「美しい」と書くと、どこかはかなげなニュアンスがある。288GTOは、スーパーグラマラスでありながら、かすかにはかない。その風情が、どうしようもないほど心を打つ。たとえばF40は、とてつもなくカッコいいけど、とてつもなく美しいかと言うと、ちょっと違うでしょ。
 そう言えば、288GTOオーナーのエディ・アーバインが言ってたな。
「フェラーリのロードカーのどこが好きなんですか」
「ルックスだけだ」

 生涯最初にして最後になるであろう、288GTOフル加速。
 絶対的な加速は、360モデナと同じくらいかな。しかし、そんな物理的性能よりも、それは限りなくステキな瞬間だった。ブーストはコンマ9。1・3のF40が暴力的とするならば、288は狂気のほんの一歩手前、ドライバーに甘美な夢を見る余裕を与えてくれるギリギリの境地にあった。
 ユルいF40? とんでもない。288GTOは、そんな軽薄さとは正反対のクルマだ。スタイル、インテリア、ボディ、足、そしてエンジン、なにもかもが、見たイメージそのままに、清楚で、優美で、力強かった。288GTOは、なにもかもがそのまんま288GTOだった。

 取材の最後。
「この幻の名車で、私のF355スパイダーを、思い切り抜いてください」
 オーナーのS氏にそうお願いした。
 ハイウェイで全開加速を繰り返し、周囲を凍らせるほど美しいロッソ・コルサの288GTOと、たわむれるようにオレは走った。ノーマルで触媒レスの彼女が吐き出す、炭化水素の香りを楽しみながら。
 ああ、この世はなんてエレガントなんだろう。
(2002年 ROSSO)


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フェラーリ 599

日付/2009.10.21


 目黒ランプでAUTOモードを解除してパコパコと首都高に突入。サスはコンフォートモードのまま。うむう。首都高の路面の継ぎ目もそれなりにカイテキに乗り越えるぞ。さすがアストン。いやさ違ったフェラーリか。このままではイカン。スポーツモード、ON!
 うおおおおお。
 サスは驚くほどハードになり、継ぎ目がビシビシと内臓に響きはじめた。ようやく目を覚ましたか599よ。フェラーリ様はこうでなくては。ベンツの赤いのくらいの感覚で買った客が3日で売っ払いたくならないと!
 では、そろそろアクセルを深めに踏ませていただこう。620馬力を解き放って、赤い奔馬の走りを見せてくれえっ!
 あれ?
 こ、こんなもんか?
 その時俺の脳内に浮かんだのは「スカ」というセリフだった。

 首都高を下り、都心のビジネス街へ向かう。ヤケだ。銀座で全開かまして高笑いして『蘇る金狼』ごっこでウサを晴らしてやる。
 おっ、反対車線を赤灯回したマッポが。テメー、こっちは天下の治外法権フェラーリ599様だ。テメーらとはクラ~スが違うんだ。これをみさらせ! CRTカットで1速でフル加速信号グランプリスタート!
「ごおおおおおおおお~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!」
 マッポをあざ笑うかのように後輪を空転させつつ、猛然とダッシュする赤き跳ね馬。銀座のビルの谷間に轟くフェラーリV12の咆哮。そーか、こうやりゃ音も聞こえるのか! 599はこう走ればよかったのか!!
(2007年1月13日 ROSSO)


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フェラーリ 612スカリエッティ

日付/2009.10.21




 ワタクシ、新宿にて612のステアリングを譲られ、しばし首都高を攻めたんでございますが、その走りの印象はと言いますと、
「まるでモデナじゃん!」
 レヴリミットこそ7500rpmとV8より1000rpm低いが、このV12は回せば回すほどパワーが出るストイックなタイプだ。車両重量はオールアルミボディのおかげで1840kg、サイズの割に軽いから、パワーウェイトレシオは3・4kg/psで、なんとモデナよりわずかに上! ノーズの動きはウルトラシャープでスポーティ。サスはガツガツと路面を捉えて、ハンドル切りゃ切り始める前から曲がり始める。エンジンはフロントだけど、前後重量配分は46:54! 前の方が軽いんだもん!
 ああ、モンテゼモーロ社長は、"F1で無敵のフェラーリ"のイメージで、すべてのラインナップを固めるつもりなんだなぁ。
(2004年12月11日 ROSSO)

 男子三日会わざれば刮目して見よと申しますが、スカリエッティ様の変身ぶりには腰が抜けました。これは発表当初とはさらに別物のマシ~ンであります!
 まず、走り出してステアリングを一発切った瞬間に驚愕。このゲインの高さ! 恐るべき身のこなし! 到底4座のフェラーリとは思えないスーパーリアルスポーツ感覚!
 エンジンもスバラシイ。音の演出はV8系フェラーリも真っ青のウルトラ炸裂系。セミオートマのレスポンスは599レベルに引き上げられ、旧世代V12とは言うものの、魂はフェラーリそのもの。人を狂気に誘います。我を失い疾走しつつ、「このまま死んでもいい」と覚悟を決めました。
(2009年2月 ENGINE)


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