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高速道路問題 2003年12月 民営化前、最後の雄叫び

日付/2011.02.23




<2003年12月 週刊SPA!より>

 ここまでの道路公団民営化論議は70点、2年前からすれば夢のようだった。小泉首相と猪瀬直樹氏には本当に感謝してます! しかし最後に、これだけは言わせてもらいたい!


 この年末、道路四公団民営化法案の骨子が固まる。00年5月に『首都高はなぜ渋滞するのか!?』、03年8月に『この高速はいらない』を出版した私としても、総決算の時期だ。この場を借りて、最後に言いたいことを言わせてもらう。

 民営化委員会は道路公団の借金返済を、道路族は自分たちの地位を最優先しているが、私はあくまで道路利用者&一国民の立場から言わせていただく。と言っても、いまさら理想論を言っても始まらないので、現実的なことに絞る。

「せめてJHは3分割しろ!」
 すでに首都高速道路、阪神高速道路、本州四国連絡橋の3公団は、「地元自治体の出資があるから」という理由で、そのままの範囲で民営化の流れだ。赤字タレ流しの本四公団については、国鉄のように債務を棚上げして、税金で穴埋めすることになるだろう。嘆かわしいが、旧国鉄の債務が24兆円だったのに比べれば、本四は4兆円程度。わかった、許す! ただし、日本道路公団(JH)については、せめて民営化推進委員会の答申に沿って、東、中、西の3社に分割しろ!

 1年前に本誌で述べたように、理想としては、仙台から鹿児島まで並行する幹線高速を別々の会社に振り分ける地域分割を実行して、並行路線同士で競争原理が働くするようにするのが望ましいが、死児の齢を数えても仕方ない。あきらめる!
 ところが国交省は、「当面は一体のまま民営化、経営安定後に2分割」などという、何の意味があるんだぁ! という分割案を画策している。NTTは東西に分割されたが、あれ、なんか意味あったか!?
 せめて、せめてだ、東京からだと、常磐・東北・関越方面は東日本会社、東名・中央は中日本会社というように、方面別の競争が働くようにしなければ、分割する意味そのものがない。あの分割案だと、東名・中央・名神・名阪をかかえる中日本会社にドル箱路線が集中するが、第2東名・名神建設という重い負担があるので、バランスは取れている。最低限、3分割だけは譲れない!

「ガラ空き路線は値下げで役に立てろ!」
 いま日本全国21カ所で、高速道路や有料道路の料金値下げ社会実験が行われている。実験的に料金を半額程度に下げて、どういう効果が現われるかを見ているわけだ。
 もともとバカ込みの首都高ETC夜間割引は、体感できる効果はないが、地方のガラ空き路線では、効果絶大だった。料金半額にしたことで交通量が2倍近くに増え、その分一般道の渋滞が緩和されたケースが続出している。比較的わずかな減収で、穀潰し路線が社会のお役に立つことが証明されたわけだ。
 民営化推進委員会は、猪瀬直樹氏らが借金返済最優先の立場で臨んだため、「1割程度の料金値下げ」と言うに止まったが、1割なんぞじゃ屁にもならない。半額とか、7割引くらいでなければ、ガラ空き路線は役に立たない(逆に混雑路線の料金は値上げしたっていい)。
 右下の地図のように、交通量によって4段階程度に値下げの料金設定をして、既存ストックを有効活用する道を探るべきだ。


 しかし、民営化されれば、民間会社は利益の追求が第一となり、こんなことは無理。つまり、料金設定については、民営化前に交通量に従った大幅値下げを断行し、シバリを課す必要があると考える。税金から減収分を補填するのも許す! 造っちまったものは役に立てなけりゃ意味がない!

「いる高速・いらない高速はハッキリしている!」
 11月28日、国土交通省は、未完成高速道路の個別路線ごとのランク付けを発表した(左上表参照)。
 日本全国の高速道路建設予定路線を走破した私の評価算定と、国交省の評価を比較すると、3割くらい「なんじゃこりゃあ!」という場所がある。たとえば北海道の夕張ー十勝清水間。私の評価ではワースト5位だが、国交省はすべて「B」。なぜだ! 一般道でも平均67キロで走破できたぞ!
 道民は「冬の日勝峠は危なすぎる」と言うが、北海道開発局が常に莫大な費用をかけて除雪しており、冬でもほとんど不便は感じないじゃないか。道民は完全に甘えている!
 国交省の4段階評価は、しょせん国交省のデータを元にしており、信用できない部分がある。しかしそれでも7割程度は許せる。再度精査して、優先順位をはっきりさせ、必要なところは造る、必要ないところは造らないと決めるべきだ。

 ただし、必要な路線でも、採算が取れそうなのは北関東道と館山道の2路線程度で、あとはすべて赤字が必至。そんなものを民営化会社が建設できるはずはない。経営を最優先すれば、新規建設など一切しないのが一番なのだ!
 しかし首都高のように、相変わらず渋滞しまくっているところを放置するわけに行かない。首都高が民間会社になったら、絶対採算の取れない中央環状線に1兆6000億円も投資するわけがない。そのことをみんな、わかっているのか?

 つまり、必要な路線の建設のためには、路線ごとに民営化会社と国・地方自治体とで建設負担割合を決定する「一般有料道路方式」や、料金収入の2割程度を建設に回すなどの抜け道が必要になる。大マスコミはそれを「骨抜き」と騒ぐだろうが、それをやらなければ大都市部の渋滞は永遠に放置される。赤字路線イコール無駄ではない。要るものは要る、要らないものは要らないだけだ!


(解説)

 いよいよ道路公団民営化の政府方針が発表される直前の時期に、最後の遠吠えとして誌面で主張を吠えまくった時のもの。結局この3項目は、なんらかの形では実行に移された。3分割は猪瀬氏の尽力で最後のどんでん返し的に実現したし、ガラ空き路線の値下げは地方路線の無料化社会実験として実施されている。不採算の必要路線の建設は、外環道の合併施工という形で(現在は民主党が半分ストップをかけたままだが)。


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高速道路問題 2003年7月 無料化ならぬ高速値下げ論

日付/2011.02.22




<2003年7月 週刊SPA!より>

高速無料化案の菅直人代表に逆提案
「清水草一の高速道路値下げ論」

 民主党の菅代表が打ち出した高速道路無料化案。高速をタダにする替わりに、営業車で年間10万円、自家用車で年間1万円程度の自動車保有税を課し、それで道路公団の巨額の債務返済や維持管理費を捻出する構想だという。
 確かにひとつの案ではある。しかし私のように、日本全国津々浦々まで高速道路を実走している者に言わせると、高速道路をちゃんと走った経験のある人の出した案ではないと断じざるを得ない。
 結局、扇大臣も国交省の役人も小泉首相も、そしてもちろん菅直人代表も、自分で全国の高速を走ってない。だから、どうしてもピントがずれてしまう。この民主党の高速無料化案も、単なる人気取り政策にしか思えない。


 確かに全世界で高速道路が有料なのは、日本をはじめイタリア、フランス、韓国くらいで、他の国ではほとんどが無料だ。中でも日本の料金は、他の有料諸国と比べても、4~5倍とダントツに高い。
 でも、このバカ高い高速料金下でも、クルマが多すぎて多すぎて、早朝にトンネルの清掃をしてるだけで8キロもの渋滞が発生し、その最後尾に居眠りの大型トラックがノーブレーキで突っ込んで4人も死んでしまうような事故が起きる路線(東名)がある。東名だけじゃない。名神や東京圏のほぼすべての高速がそうだ。そこをタダにしたら、どういうことになるか? 恒常的な大渋滞が発生し事故が頻発し、大混乱することは間違いない。

 一方では、スイスイ流れる一般道に対して高速料金があまりにも割高なため、ほとんど使われないド田舎の路線もある。


 全国一交通量の多い区間は、東名の横浜町田ー厚木間で12万7959台/日。対して一番少ないのは、日本海東北道の川辺JCTー秋田空港間で499台/日(平成13年度)。256倍の開きがある。それを一律に扱うこと自体、市場経済原理に照らしてムチャクチャだろ!


 路線によって料金レベルに大きな格差をつけている国はないけれど、料金レベルが飛び抜けて高く、しかも混雑率に想像を絶するほどの差がある日本では、路線ごとに料金格差を設ける必要が絶対あると考える。もちろん、40兆円以上の道路公団の債務を考えたら、財源なしの大幅値下げとか一律タダなんてのは論外だ。借金は返すのが社会の常識だ。

 そこで私の"正論"を発表させていただきます。
 まず、高速料金。交通量の多い路線は、これ以上交通量が増えてもらったら困るという現実を直視して現状維持(首都高などの都市高速も同様)。そして交通量が減るごとに段階的に区間料金を下げる。図のように4段階程度にするのが望ましい。
 現状では、地方路線ほど並行する一般道の流れが速く、相対的に高速料金が割高になっている。逆に言うと都市部ほど割安で、一種の不公平が生じている。
 しかし、交通量に合わせて現状維持から7割引きまでの段階を設ければ、短縮所要時間1時間あたりの料金が、1000~2000円で揃う。こうすれば、ほとんどオブジェ状態の路線も少しは役に立つようになり、しかも交通量が増える分、それほど大幅な減収にはならない。

 といっても、この値下げ案を実施した場合、道路公団合計で15%程度の減収は覚悟する必要がある。その分は、ガソリン&軽油税の値上げで補填する。石油の値上げは省エネを促進するからエコロジー(自動車保有税の値上げでは効果は薄い)。高速の利用促進も燃費の向上につながるからエコロジー。一石二鳥だ。リッターあたり3円強の値上げで高速料金が適正になるなら、ドライバーにも受け入れられるはずだ。
 この値上げ幅を、思い切ってリッター10円にすれば、首都圏の環状高速や第2東名・名神など、必要性の高い高速の建設費まで捻出できる。どうせならそこまでやるのが理想なんだけど、いかがでしょう。


(解説)

 現在でも私の持論である「交通量に応じた料金制度」を最初に発表した時の記事。有料か無料か、という二元論では高速道路問題は語れない。混んでいるところは高く、ガラガラのところは安く。それが全国の高速道路を走破した私の結論で、現在も変わっていない。


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高速道路問題 2003年6月 首都高C2王子線開通半年

日付/2011.02.19




<2003年6月 週刊SPA!より>

 昨年12月25日クリスマスイブに開通した首都高中央環状王子線、その後役に立ってるか~?
 23区北部関係者、個人的には講談社(文京区音羽)の皆様は「すごぉく便利になった」と口を揃えている。東池袋ランプからスッと東北道や常磐道方面に行けるようになったんだから当然だ。
 でも、23区北部に無関係な人間は、一回も通ったことない人が多く、ほとんどなんも感じていない。私のような首都高オタクは、様子を探るためだけにこれまで3往復ほどしたが、用があって使ったことはゼロだ。
 王子線の開通で、首都高の渋滞が全般に緩和されたんなら23区北部に無関係な人間も感謝するのだが、そっちの方はほとんど感じない。私のように、4号線沿線の住民は、王子線の開通以来、平日の午後4号線上りが大渋滞するようになって、かえってデメリットの方が大きい。
 王子線開通、ホントに効果あったのか!? ということを聞くために、首都高速道路公団に行った。


 結論からすると、「全体で1割ほど渋滞が減少しました。特に午前ピーク時の渋滞が緩和されています」とのこと。具体的には、都心環状線の北側区間(竹橋ー江戸橋)の交通量が減り、放射線上りの吸い込みがアップしたこと、6号線上りの渋滞が若干緩和されたことなどが挙げられるという。
 逆に悪化したのは、5号線下り。特に竹橋ジャンクションは、平日午後、都心環状線外回りと内回りからのクルマが合流する地点で渋滞が発生し、かつての箱崎の様相を呈している。その渋滞が4号線上りにまで伸び、午後の4号線はヘタすると所要時間が2倍になった。個人的には大被害‥‥。

 しかしまあ、ネットワークが充実することは間違いなくいいことだし、この局所的な渋滞悪化も、平成18年度に中央環状新宿線が開通すれば解消される。あと3年半。3年半なんて、首都高の歩みから見れば短い短い! 小管ー堀切間なんぞ、14年かかってようやく上りのみ拡幅改良されたんだからな。

 ただ、その時はその時で、また新たな渋滞ポイントが発生する。私が以前から一番心配しているのは、中央環状線と5号線が約1キロにわたって合流↓分流することになる板橋ー熊野町間だ。
 計画では、ここは4車線+4車線=6車線という、幼稚園児でもわかる大変な計算間違いの設計となっており、大渋滞は必至の構造。しかし私が拙著『首都高はなぜ渋滞するのか!?』で罵倒しまくったせいで、公団は「8車線か、最低限上りのみ4車線の7車線化するよう検討中」と方針を変えてくださり、私も生きて来た甲斐があったと随喜の涙を流した。

 で、あの「検討中」がどうなったのか。それを尋ねると、
「上りを4車線化した場合、橋脚にどのような補強が必要になるか等を精査中」だが、「新宿線開通後、当該区間の交通量は16万台弱と予想しており、現状の6車線でもさばける範囲と考えています」だと!
 なんとものどかな、縁側でひなたぼっこしているかのようなお答え。以前より姿勢が後退してるじゃねぇかよ!

 じゃあさ、予想がはずれてさばけなかった場合、誰か責任取るわけ!?取らないんだろ。これまで数々の予想をはずしまくってきた公団が、またぞろ楽観的予測によって、莫大な費用をかけて欠陥高速を建設し、民は大渋滞に黙って耐えて幾星霜。そんな構図はもうやめてくれ!
 公団計画部のみなさんには、是非原爆ドームをご覧になっていただきたい。「安らかに眠ってください、過ちは繰り返しませんから」。その言葉を胸に刻んでほしい。
 こういうのは、民営化したって解決できない。なんせ首都高は、渋滞しようがしまいが自分のフトコロは全然痛まない。渋滞対策は費用かかって収益上がらず。真剣になれっこない!
 頼みの綱は剛腕系の石原都知事くらいか? お願いです、なんとかケツ叩いてください! このままでは過ちが繰り返されてしまいます!


 担当者によってニュアンスに差があるんだろうが、今回の取材の感触では、「ほとんどやる気なし」。中央環状新宿線の開通まで、あと3年半しかないってのに! 自分にできることはないか、いま必死に考えてます。

(解説)

 C2王子線の開通効果についての記事。結局焦点は板橋-熊野町間の拡幅なのだが、その後これは都市計画決定され、あとは国の認可を待つだけだ。しかし民主党政権が「新規着工の原則凍結」を打ち出したことで、未だにGOが出ていない。国は費用を出すわけではなく(工費の25%を無利子融資するだけ)、工費は料金で返済するにもかかわらず、ストップをかけたままだ。民主党はいったい何を考えているのか? 何も考えてませんと言わればそれまでだが。


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高速道路問題 2003年1月 外環道造るべきか

日付/2011.02.16




<2003年1月 週刊SPA!より>

 

ついにGO? 

 外環道東京区間(練馬ー世田谷間)を、大深度トンネルで建設する案が、国と都の間で合意された。
 大深度トンネルなら、地上の土地に対して買収や補償の必要がない。ただし途中に予定通りインターを造ると、立ち退き戸数が約2000軒と、高架案の3000軒と大差なくなってしまう。そこで、インターを一切造らず、東名、中央、関越とのジャンクションのみのシンプルな構造にして、立ち退き戸数を約1000軒に抑える案を基本にし、今後地元と協議して行くそうだ。
 私はこのニュースを、複雑な心境で聞いた。インターがひとつもないと、用賀、大泉、高井戸出口の既存の3インターにクルマが集中して、激しいインター渋滞が発生しそうだ。あるいは不便さから、思ったように利用が伸びない可能性もある。1兆2000億円(もっと?)もかけて渋滞を呼んだり、クルマが少なかったりしたら、悲しすぎる。

 

幻?の環8地下化案

 私は、3年前に出版した『首都高はなぜ渋滞するのか』で、「外環道東京区間は、現計画を白紙に戻し、環8の地下に建設すべき」と提案した。どうせトンネルを掘るなら、道路の下に掘ればいいというのが、ごく自然な、当たり前の発想じゃないか。事実、首都高速中央環状(略して中環)新宿線は、山手通りの地下に建設されている。環8の幅員は25メートルしかなく、2車線のトンネルを左右に並べるのは苦しいが、上下に並べれば何の問題もない。環8地下化案なら、立ち退き戸数はほんのわずかで済む。出入り口も環8に沿って建設できる。第三京浜まで延長すれば、湾岸線にも直結されて、ヒョータン型の環状高速とすることができる。どう考えてもメリットが大きい。
 ただ、私がそんな大胆な案を主張したのは、外環道の建設が、火星探検のような夢物語の状態だったからだ。ことここに至っては、環8地下化案実現の可能性はなかろう。

 

完成はいつになるのか

 では、現計画路線に沿って、住宅密集地の地下に大深度トンネルで建設するとして、完成はいつになるのかを考えてみよう。
 通常、道路の建設は、まず都市計画案を提出し、住民説明会や審議会を経て、2~3年で都市計画決定に至る。そこから用地買収や建設が始まり、通常、工期は10年前後だ。つまり、都市計画案の提出から完成まで、12~3年。扇国交相は「工期は7~8年にできる」と言っていたが、こういった大都市の難工事が計画通りに完成したためしはない。用地買収を含めると、最低10年か、それ以上かかると見て間違いない。
 しかも外環道の場合、まだ都市計画案のはるか前の「たたき台」の段階にある。1966年の計画決定以来、37年間反対を続けてきた住民と、これからようやく協議が始まる。2~3年で「はいそうですか」となるとは、とても思えない。立ち退きも最低1000軒は発生する。
 そう考えると、完成したとしても、約20年後と見るのが妥当だろう。
 20年後‥‥。


 人間、そこまで遠い将来のことを、鮮明にイメージするのは難しい。日本の総人口は2006年にピークを迎え、2020年あたりからは交通量も下降を始めると推計されている。2023年、外環道が完成して、その時本当に喜ばれるのか? 現在でこそ、東京の渋滞解消のためにぜひ欲しい道路だが、20年後となると、五里霧中の感がある。
 先の道路公団民営化推進委員会では、高速道路建設の優先順位として、「進捗率」を第一にすべし、と猪瀬委員らが主張した。私はそれには同意しないが、首都圏の環状高速の建設に関しては、進捗率、いや完成予想年が、極めて重要になってくることを、実感せざるを得ない。

 

3環状、他の路線は

 では、他の環状高速の建設状況は、どうなっているのか。
 最も建設が進んでいるのは、昨年末開通した中環王子線の南側、中環新宿線で、4年後に完成の予定だ。

 2番目は、圏央道の西半分、東名(海老名)から東北道(久喜白岡)までの約100キロ区間だ。国土交通省によると、2年後に八王子JCTまで開通させ、「2007年度中に東名ー東北道間を全通させるのが目標」だと言う。まぁ2010年あたりになるだろう。

 3番目が、外環道の千葉区間(三郷ー市川間)だ。ここは96年に都市計画決定されているので、順調に行けば2006年に完成となるわけだが、市川市の住宅街を中心に、まだ約1000軒が未買収で残っている。建設反対運動も続いている。遺跡の発掘もある。日本道路公団は「用地買収率は現在約8割で、順調に進んでいる」と言うが、現場を見ると、あと10年はかかるんじゃないか‥‥と、ペシミズムに襲われる。ここも住宅地のど真ん中をブチ抜いてるんで。

 工事に着手しているのはこの3本だけで、あとはほぼ手付かずだが、4番目に来るのは、全線トンネルの中環品川線だ。これはそろそろ都市計画案提出となって、「あと13年後」というレールに乗るだろう。図のように、中環は2カ所にボトルネックを抱える欠陥設計で、スムーズには流れてくれないが、これが完成すると、いわゆる「首都圏3環状(中環、外環、圏央)」として初の全通となる。
 圏央道西半分と中環が完成すれば、東京の西側には、3環状のうち2環状が開通することになる。今後の人口の減少を考えると、それでなんとか間に合うかも?

 なにしろ、外環道東京区間ができるのは、早くて20年後だ。当面は建設の方向で推進していただきたいとは思うが、たとえば10年後、ついに建設にGOが出たとして、その時今一度立ち止まり、中海や諌早湾干拓事業のように、造るべきか造らざるべきかを再検討すべきだね。

 

(解説)

 外環道の建設がようやくリスタート状態になった時の記事。この段階で「まあ20年後」と書いているが、現状、2020年度の開通が目標で、そこから数年遅れは必定だろうから、私の推測はおおむね当たりそうだ。この頃はC2品川線より圏央道の方が早く開通しそうな気配だったが、ほぼ全線地下トンネルで用地買収が最小の品川線が、シールドトンネル掘削技術の進歩と相まって、驚くほど早く開通する(2013年度)。これはうれしい誤算だった。また外環道千葉区間について、「あと10年は......」と嘆いているが、実際は最速でも2015年度内。そこからさらに数年遅れそうだ。


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高速道路問題 2002年12月 森永卓郎氏と対談

日付/2011.02.13



<2002年12月 週刊SPA!より>

 道路公団民営化委員会の答申発表直後、その評価を巡って経済評論家の森永卓郎氏と対談した時の記事です。

清水 森永さんは民営化委員会の最終答申をどう見ますか。
森永 ほぼパーフェクトと言っていいんじゃないですか。
清水 まったく、驚くほど正論の羅列ですよね。民営化委員会が発足するまでは、世間が正論を知らなかった。その正論を公開論議で知らしめただけでも、大変な意義があったし、答申内容は感動的ですらあります。
森永 ただ、あの5分割案は残念だな。

完璧な正論の最終答申だが
分割案だけが意味不明!

清水 そうなんですよ。なぜあんな分割案になってしまったんだろう。
森永 あれなら、猪瀬さんの行革断行評議会でしたっけ、あそこの案の方がずっとよかったですよ。
清水 本当にそうなんですよ! あの案は、東名と中央、山陽と中国、東北と常磐は別会社の割り当てで、しっかり競争原理が働くようになっていた。なのに出てきたのは、JRの分割を元にしたらしきシロモノで、東名も中央も名神も名阪も全部中日本会社です。どういう意図であんな分割案が出てきたんでしょう。
森永 そこがまったくわからないんですよ。
清水 JR東日本会長の松田委員が、自分の成功体験に固執したんでしょうか。「方面別の競争原理が働く」って言ってるけど、方面別じゃ大した競争にならない。並行する路線で競争しないと。関西の鉄道は京都ー大阪ー神戸間を並行して走ってるから、すごいスピードアップ競争で、130キロ運転をしてるでしょう。でも関東は方面別だから、数十年間、スピードアップがない。
森永 私は所沢なんですけどね、2本走ってる私鉄が両方とも西武なんですよ(笑)。競争がないんで、どんどん遅くなってる。本当にフザケンナと言いたいですね。どっちか京王か小田急か、どこでもいいから取り替えっこしてもらいたい。京王の特急なんか、新宿ー八王子間でJRと競争してるから、脱線するんじゃないかって勢いで走ってるのに。
清水 京浜急行の快速特急なんて、カーブでは真剣に脱線寸前の頑張り方です(笑)。あれ見ると、やればできるんだって思いますね。

経営形態よりも、
競争の有無が大事

森永 重要なのは、経営形態より競争なんですよ。たとえば羽田は国営、成田は公団、関空は株式会社だけど、お互い競争してないから、どの空港も似たようなもんでしょう。ところが、宅急便が出てきたおかげで、郵政省のゆうパックはすごくよくなった。競争があれば、誰だって真剣に考えるんです。やる気にさせることが大切なんです。そういう意味で、清水さんの分割案はよくできてますよ。
清水 並行路線は別会社にしないと無意味ですよね。
森永 それとね、猪瀬さんが言ってたんだけど、耐震設計の手を抜けば、建設費が3分の1になるんだって(笑)。震度6が来たら壊れるチャチイ高速を造るのも、民営会社なら戦略でしょう。韓国のゼネコンにやらせるとか、アジアの労働力を使うとかいった手もある。
清水 それはすごい手だ。
森永 本当に重要な路線はもうできてるんだし、第2東名なんて、壊れたって第1があるんだから(笑)。そりゃリスクはあるけど、それは利用者が判断すればいい。私なら、震度6で壊れるかもしれなくても、料金3割引の方を使いますね。

敗れた"事務局案"でも
夢のような前進だ

森永 ただ、最終答申がそのまま法案になって国会を通ることはあり得ない。最後まで揉めた、いわゆる事務局案の方がせいぜいです。
清水 事務局案でも、今までに比べたら夢のような前進なんですよね。「料金収入の約5分の1を新規建設に充てる」ってことになったって、民営会社なら一番儲かりそうなところに投資するし、借金じゃなくキャッシュで造るんだから、トータルの建設費は大幅に安くなる。僕はあの案でも十分だと思ってたんですけど、世間はそう思ってない。
森永 そう。そこまでわかってる人は1%もいない。あれはとんでもない道路族寄りの案だと思ってますよ。
清水 いま道路族が主張してるのは、民営化までに3兆、民営会社が10兆、道路特定財源から3兆でしょう。それだって、以前の20兆6千億円全額道路公団が出すよりは、はるかに前進だ。道路族はすでに譲歩を余儀なくされているわけですよね。
森永 ものすごい譲歩ですよ。なにしろあいつら、4全総のあとは5、6、7と永久にやるつもりだったんだから(笑)。それを、そろそろこのあたりが限界だってわからせただけでも前進です。
清水 僕は、最終答申がいわゆる妥協案になった方が、かえってよかったんじゃないかとも思うんですが。

猪瀬さんは
全部わかっていた

森永 その辺、猪瀬さんは全部わかってたから、最後、水面下で懸命に妥協を模索したでしょう。ところが松田、大宅、川本委員が単細胞だった。正論で突っ走っるのは簡単なんですよ。逆に猪瀬さんには、分案割についてはもうちょっと突っ張ってほしかった。そこが猪瀬直樹の最大の後退ですね。
清水 あの分割案だけは、なんだこりゃって感じですよね。
森永 そのへん、最終答申も甘い面があるんで、もう1回やった方がいいんじゃないかな(笑)。でも、一番許せないのは小泉首相ですよ。
清水 そうなんですか?
森永 今井委員長は、国会で通る答申をしようとしただけなのに、最後に小泉首相にはしごを外されて辞任に追い込まれて、道路族寄りで無責任な最低のヤツ、ってことになっちゃった。結局、小泉首相は風を見ていたんですよ。それで最後に「国会を通る通らないは考えなくていい」と言って、今井委員長をばっさり斬った。1年後、できた法案が事務局案ベースだったら、小泉は抵抗勢力に屈したと、マスコミはボコボコにしますよ。その時は石原行革大臣が斬られる。
清水 なんだかんだで全部元の木阿弥になるのが一番怖いんですけど。

(清水分割案)

 日本の大都市は一直線上に位置しているため、交通量の多い幹線ほど競争原理が働きやすい。南日本会社に東名/名阪&第2名神/山陽を配し、西日本会社に中央&第2東名/名神/中国を配する。九州は、未完成の東九州道を、最も収益率の高い南日本会社に分割する。東京ー長野間は、西日本会社と北日本会社の競合。常磐道は現在広野までだが、東北道と分割すれば、仙台までの延伸によって東京ー仙台間に競争原理が働くようになる。事業規模も収益率も、拡大阪神を除いてほぼ揃う。

 

(解説)

 民営化委員会の答申について覚えている人はあまりいないと思うが、内容は極めて正論で、それについては私も森永氏も同意見。ただ分割案だけは元の猪瀬案から大きく後退し、日本道路公団については、現在の3分割案ほぼそのままになっていた(本四公団は西会社に吸収)。それについて森永氏は、「競争原理が一番大事」と核心を突いた。


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