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高速道路問題 2007年4月 首都高距離別料金 是か非か

日付/2011.03.16




<2007年4月 週刊SPA!より>

 最近、CMでもチラリと見かける「08年、首都高は距離別料金制に移行します」の文字。いったいどうしてそういうことになったのか?
 端的に言えば、「お上がそう決めたから」。道路4公団民営化にあたって、政府・与党は、「首都高速と阪神高速は、リース料の支払いに必要な料金収入の確保を図りつつ、平成20年度を目標として、対距離料金制への移行を図る」と申し合わせた。
 距離別料金への移行そのものは、はるか以前から議論されていた。現在の均一料金制は、「利用距離が短くても長くても料金が同じで不公平」と言われてきたが、首都高(と阪神高速。以下同じ)は出口料金所を設けるスペースがないため、仕方なく導入されていた。それが距離別になるというのは、まったくの正論だ。
 ただ、首都高の場合、「リース料の支払いに必要な料金収入の確保」という一文がついている。
 旧道路4公団は、先の民営化にあたって、45年以内に借金(建設費等)の返済を終えると法定された。旧日本道路公団は、現状の料金水準でも返済可能と見られるが、首都高ははるかに財務状況が厳しく、料金収入を大幅に増やさなければ無理。つまり距離別料金制の導入の真の目的は「収入増」なのだ。
ちなみに、財務状況が破滅的だった本四公団は、道路特定税源の投入を受け、すでに借金をチャラにしてもらっている。

公平になる
 短い距離なら安い料金、長い距離なら高い料金は理の当然。均一料金制よりはるかに公平だ。

短い距離でも気軽に利用できる
 現在検討されている料金体系によれば、一番安い料金は300円程度。700円の均一料金では、短い距離なら一般道を使うケースも多かったが、距離別になれば、「もったいない」という感覚はかなり薄まり、今より気軽に利用できるようになる。ちなみに現在、首都高で最も多い利用距離は「10キロ前後」。10キロの利用だと、520円という計算になる。

渋滞が減る
現在の均一料金制では、一度首都高に乗ったら、多くの人が渋滞していてもそのまま我慢していた。一度降りてまた乗れば、料金が2倍かかってしまうからだ。
ところが距離別になれば、混んでいる部分は、料金を払ってまで利用する価値がないことになり、慣れたドライバーは、混み始めたら一般道に降りて迂回し、その先でまた乗り直すという行動を取るようになる。職業ドライバーなどがその筆頭。
一方、空いている区間は、いわゆる「チョイ乗り」が増えると期待され、今より交通量は増える。
 混んでいる部分は今より空き、空いている部分は今より混む。渋滞を緩和しつつ、料金収入も増やすことが可能だ。

環境にいい
 渋滞が減ればそれだけムダな燃料消費も減り、当然環境にいい。
ただ、料金設定によっては、首都高は空いても一般道の渋滞が大幅に悪化するケースも考えられる。
つまり、距離別料金制を社会全体にとってのメリットにするためには、料金水準がカギを握ることになる。

 
長距離利用者に対する大幅な負担増をどうするのか
 現在700円で走れたものが、最高1700円になれば、「ふざけるな!」となるのが人間の心理。大型車は最高3400円という急激な負担増になる。
 とは言っても、現在検討されている首都高の料金水準は、東名高速の東京―厚木間(大都市近郊区間)とほぼ同じ。東名に許されて首都高に許されないというのは、理屈としてはおかしい。
 ただし首都高の場合、現状、東名ほどの早達効果がないのが問題になる。
 東名の場合、並行する国道246号線に比べると、時間短縮効果は7割以上。よほどの渋滞でも、国道を走るより遅いことはまずない。一方首都高は、現在の昼間の平均速度は約40km/h。一般幹線道路は約20km/hなので、時間短縮効果は約5割だが、上り線に関しては、一般道より時間がかかるケースも多い。
 つまり、東名と同じ水準の料金を取ったら、「首都高には乗らない」というクルマが相当数出ることが考えられる。特に料金が2倍の大型車には頻出するだろう。首都高の渋滞は大幅に減っても、一般道が悲惨なことになりかねない。
 急激な負担増と一般道の状況悪化を避けるために、長距離利用者の料金の割引きや、一定額での頭打ち制度が検討されている。

非ETC車をどうするのか
 距離別料金制の導入にあたっての、最大の問題がこれだ。現在、首都高のETC利用率は74%前後。さらに伸びてはいるものの、100%になることはあり得ない。公益性を考えれば、現金払いを残さないわけにはいかないが、首都高に出口料金所を設けるのは不可能なので、現金客に距離別料金を適用するのは極めて難しい。
 出口のカメラでナンバーを撮影し、後日電子マネー等で返金、あるいは次回以降の利用のためにプールする、といった方法も検討されているが、「ナンバーを確実に撮影できるのか」に始まって、技術的な難問が山積している。
 現金客だけ現状の均一料金を据え置けば、長距離利用者は全員、現金払いを選択することは間違いなく、距離別料金制の意義そのものを崩壊させる。
 現金客からは、距離別料金の最高料金を取る以外、確実な解決方法はないが、料金水準によっては、大きな反発が予想される。
 導入まであと1~2年に迫りながら、解決策は見えていない。
 
うまくやらないと首都高大バッシングが起きる
 7年前に書いた『首都高はなぜ渋滞するのか?』で、すでにETCを使った距離別料金制の導入を提唱していた私は、そのメリットを十分評価しているが、導入を目前にした今、残された難題の多さに唖然としている。
 なによりも最大の問題は、非ETC車の扱いだ。非ETC車はいわば「弱者」。扱いによっては、「弱者切り捨て」の名のもと、大マスコミが首都高バッシングの大キャンペーンを張るだろう。
 確かに、クレジットカードを作りたくても作れない人の存在は、切り捨てられない。そういう人のために、「ETCパーソナルカード(パソカ)」が発行されているが、利用するためには最低4万円をデポジットで入金しなければならない。クレジットカードすら作れない経済的弱者に、4万円を捨てろという方が馬鹿である。
 しかし、首都高に距離別料金制を導入するためには、これを活用するしかない。そこで私は、首都高専用のETCパソカの発行を提案する。
 現在のパソカは、NEXCOでも利用できるため、4万円という高額なデポジットが必要だが、首都高に限定すれば、2000円程度にすることも可能なはず。最低2000円のデポジットなら、なんとかなるのではないか。それでもETCを拒否する人には、現金で最高料金を取るしかない。

 ただし、現在の3料金圏は残し、東京区間は200~1000円、神奈川区間200~800円、埼玉区間200~500円とする。

 この水準なら、一気に2倍以上といった激変はなく、長距離客の過度の首都高離れ↓一般道の大渋滞を避けつつ、渋滞緩和と料金収入の確保が図れるのではないか。首都高の早達効果から考えても、このくらいが適正な水準だろう。
 これで45年以内の償還が不可能なら、首都高(株)は、国や自治体に対して、道路特定財源の投入を要求すべきだ。政府・与党の申し合わせにも、「国および地方からの出資について検討する」という一文があり、その方が公益にもかなう。
 首都高は、国や自治体に対しても、きちんと物を言うべきなのだ。すべてを料金に転嫁しようとすれば、ひとり悪者され、袋叩きに遭ってしまう。

(解説)

 07年、首都高と阪神高速が距離別料金制を導入しようとしていた時の記事。その後08年のリーマンショックで距離別導入はフッ飛び、現在は「12年度から導入」を前提に、料金圏なしの500~900円という超長距離優遇の料金体系が検討されている。なぜ首都高で長距離を優遇するのか? 渋滞は悪化の方向に振れるし、外環道が開通してもそちらに迂回した方が高くなってしまうケースが出る(特に東京-横浜間)。詳しくは拙著『首都高速の謎』をご覧ください。


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高速道路問題 2006年9月 駐禁取締り強化 その後どうなってる?

日付/2011.03.11



<2006年9月 週刊SPA!より>

 2006年6月1日、突如として都内の道路から路駐が消滅! 拍子抜けするほど渋滞激減! 路駐って実際こんなに渋滞を引き起こしてたのか! って変に感心してたもんだけど、あれから3か月、また路駐が増えてきたようなので、取材してみました。

 改正道交法施行直後の6月は、取締りに対する恐怖の蔓延により、違法駐車車両は以前の10分の1(個人的目分量)に減った感覚だった。
 あれから約3ヶ月を経て、民間監視員制度が導入された都内12区の外側、たとえば私の住む杉並区では、以前と取締り状況がなんも変わってないことがバレ、完全に前の状態に戻ってしまった。もう交番の前だろうがなんだろうが止めまくりだ。
 取締りが強化された都心部も、6月の3倍程度には増加している(同じく目分量)。そのあたりについて、都心部で営業しているタクシードライバーに聞いてみた。

「6月ほどじゃないけど、最近も幹線道路は路駐が少なくて、流れてるね。その分、1本裏の道に移動した感じで、裏道がすごく走りにくい。例えば六本木では、六本木通りの流れはいいけど、裏の芋洗坂なんかは道の左右両側にズラ~っと路駐が連なって、大変なことになってるよ。監視員は幹線道路は気合入れて取り締まってるけど、裏道まで手が回らないんじゃない」
 なるほど、都心部では裏道か。つーことで渋谷から外苑方面にかけて徒歩で調査してみたところ、確かに裏道の路駐はかなり多かった。でも、青山通り(取締り最重点路線)の路駐もビックリするほど増えていた!
 上の写真は、青山通りと宮益坂が交差する金王坂上交差点だが、6月には路駐ゼロだった。それが現在は、赤い「駐停車マジ禁止ゾーン」にも路駐がチラホラ。そのすべてがトラックや配達などの営業車両だ。
 試しに数えてみたところ、金王坂上から表参道交差点までの約800メートル区間(両側)に、路駐は51台。そのうち40台が営業車だった。施行直後、配達などの営業ドライバーから怨嗟の声が上がった影響で、営業車は見逃すようになったのか?
「あり得ません。民間監視員への業務委託は年度契約ですから、少なくとも今年度中は取締まり頻度等、何も変わりません」(警視庁広報)

 じゃこの営業車の路駐の増加ぶりは、取り締まりへの慣れの"成果"か。その辺、SPA!編集部出入りのクロネコのニーチャンに聞いてみた。
「取り締まり重点地域がハッキリしてきたので、そこには1台も止まってないです。ゆりかもめの線路の下の道とか」
 扶桑社界隈では、ゆりかもめの下の道が「取締り重点路線」。海岸通り(国道1号)は指定から外れている。
「重点路線から1本外れるといっぱい止まってますけど、取締り自体は、ゆるくなんかなってなくて、最近また強化されてきたかな、という印象ですね。このへんは2~3人の取り締まり員が交代でバスに乗ってやってきてます。割とよく見かけます」
――ニュースで配達をふたり体制にしている会社もあるって聞いたけど?
「ウチはひとりでやってます。お客さんの敷地借りて止めたり、10分くらいで効率よく集配したりして凌いでます。場合によってはコインパーキングに止めたりしてますね」
――会社で何か変わったことは?
「基本的にクルマに乗らない方向に進んでます。街中に集配所を作って、そこを拠点にするんです。自分ももうすぐ営業車やめて、自転車にリヤカーつけたヤツになるんですよ。ちょっと恥ずかしいっすけど、リヤカーだと維持費もかからないし、事故とか違反の心配もないし、環境にも優しいですから。それに意外と効率いいんですよ。駐車場所とか、ルートとかいちいち考えなくていいし」
 以前は、「幹線道路が路駐で渋滞↓狭い裏道が幹線道路状態」だったんで、路駐が幹線道路から裏道に移ったのはいいことだ。都心部の宅配がトラックからリヤカーに転換するのもスバラシイ。
とにかく、相変わらず都心部の幹線道路は走りやすいんで、首都高が渋滞してたら、ガマンせずに環状線の手前で降りて一般道を行くのがおすすめだ(道がわかればだけど)。

 確かに6月より路駐は増えたが、都心部はおおむねちょうどいい状況に。問題は12区の外側。幹線道路の交差点内だけでいいから、民間監視員を導入して取締りを強化してもらいたい。交差点内に止めるバカが多すぎる!

 

(解説)

 駐禁の民間監視員導入後の検証記事。現在は取締り状況も安定し、相変わらず都内の一般道の流れはスムーズだ。制度導入直後は、「スジが通らない」等の批判が渦巻いたが、スジ論だけでは世の中よくならない。この制度でドライバーの意識も変わったし、実情に即したいいものだったと考えている。


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高速道路問題 2006年6月 激論! ETC派vsアンチETC派

日付/2011.03.04



<2006年6月 週刊SPA!より>


 便利で楽チン、各種割引も充実しているETCの利用率は現在約61%。かなりの数字になったが、逆を言えば、4割もの人がいまだ有人ブースを利用中。単純に、ナンデ? アンチETC派・山口宗久氏の言い分を、黎明期からのETCユーザーであるMJセンセイが聞く!

 

清水 山口さんは、今どき珍しいETC反対派だって聞いたんだけど、なんでまた? やっぱり「飛行機みたいな重い物が空を飛ぶはずない」とか、そういうアレですか?
山口 あはははは。いや、いろいろありますけど。
清水 まだETC付けてないの。
山口 付けてません。
清水 モータージャーナリストやってて、それは凄い! 国宝級だ。
山口 ありがとうございます(笑)。僕が納得できないのは、まずETCを統括してるORSEっていう天下り団体、あれは怪しいでしょう。甘い汁を吸ってるんじゃないですか。
清水 ORSEは、セットアップ料のうち500円を取り分にしてたんだけど、猪瀬直樹さんが噛み付いてから、ずっと取ってないんですよ。
山口 還元キャンペーンでしたっけ。まだやってますよね。
清水 あれはORSEの収入の柱なんで、もう甘い汁もクソもないんだよね。今はこれまでの内部留保を放出して還元キャンペーン続けてるけど、近いうちスッカラカンになる。
山口 そうなんですか?
清水 ORSEは猪瀬さんの攻撃を受けて、甘い汁を吸えなくなっちゃったんだよ。それに、たかだか年間数十億円だし。そんなの、高速道路1キロ造ったら吹っ飛ぶ。首都高中央環状新宿線なら100メートルも造れない。
山口 それとこれとは話が違うでしょう! 僕はね、ああいう自動料金収受システム自体には賛成なんです。
清水 あそう。
山口 でも、今のETCは納得できない。このままなら、僕ひとりのためだけにでも、全国の料金所に収受員を置け、っていうくらい、最後のひとりになるまで抵抗したいですね。
清水 ‥‥いるんだよなこういう人が(爆笑)。

「海外には現行ETCより安いシステムがある」(山口)

山口 だって、公共インフラの主旨として、1万円も出して車載器を取り付けて、しかもクレジットカードを作らないと使えないなんて、おかしいですよ。清水さんみたいにフェラーリに乗れるような人はいいでしょうけど、1万円を出すのが大変な人もいるんですよ。
清水 それ言ったら何もできないじゃない! 新幹線にもグリーン席はあるでしょう。逆に東海道線の鈍行もあるわけだよ。1万円が出せないなら一般ゲートで払えばいいし、それも無理なら下道を走ればいいじゃない。山口さんが言ってるのは悪平等だよ。
山口 いや、仮に、あれ以上安いシステムが技術的に不可能なら仕方ないんですけど、海外にはもっとずっと安いシステムがあるわけじゃないですか。なら、システムごと海外から輸入してもよかったんじゃないですか。
清水 確かにETCはコストが高いよね。車載器も高いけど、ゲートも1基1億円とかするからね。親方日の丸で金に糸目を付けずに開発して、F2戦闘機みたいになってしまった部分は大いにあると思う。
山口 でしょう。
清水 でもね、今はもう、おおむね許容できる範囲じゃない? 僕が最初にETCを付けた頃は5万円近くしたし、料金割引もなかった。それが今は1万円くらいになって、割引もいろいろあるんだから。ETCの方が得になったから普及が進んでるわけで、市場は正直だよ。それに、誤作動もほとんどない。ドイツのアウトバーンが大型トラックに義務付けたトールシステムって、トラブル頻発で運用を中断したりして、大変なんだよ。
山口 そうなんですか?
清水 確かに日本のETCは高いけど、信頼性が高くて快適で、それにあのおかげで料金所渋滞がほとんど解消したんだから。一般ゲートを使ってる山口さんだって、その恩恵を受けてるでしょ?
山口 まあ、受けてますね。
清水 じゃ、いいじゃない。付けた人も付けてない人も、ETCで幸せになったんだから(笑)。
山口 いや、納得できない(笑)。ETCって危ないじゃないですか。
清水 まあ、危ないな、と感じることはあるね。大型トラックがゲートでほとんどスピードを落とさないとか。あんなのが後ろにいて、もしカード入れ忘れとかでこっちが止まっちまったら、目も当てられない。
山口 でしょう。20キロでスルーできるっていうのが間違ってますよ。一旦停止にすればいいんですよ。

「高速道路の利用者はETCで確実に幸せになった」(清水)

清水 でも、現実的にはさ、ETC関連の事故って少ないんだよね。
山口 3年間で人身事故が12件。
清水 ものすごく少ないじゃない。
山口 でも、料金所手前で椅子取りゲームみたいなことになって、われ先に突っ込むでしょう。あれもすごく危ないですよ。
清水 あのくらいはあった方がいいんだよ。あ、危ないな、って思うから事故が少ないんだから。
山口 それは目茶苦茶だ!
清水 高速道路の事故って、危険を全然感じずにボーッと運転してる人が起こすケースの方が多いじゃない。あの程度の交通の混乱は、イタリア人の運転に比べれば全然問題ないし、僕は逆に楽しいねアハハハハ。
山口 僕はね、ゲートでは20キロ以下に落とせっていう決まりが、全然守られてないことが許せませんね。日本って、いつもルールがなし崩しになって、破るのが当たり前なってしまうでしょう。
清水 それが日本の風土で、一種の美風なんだよ(爆笑)。
山口 そう来ますか!
清水 日本がドイツみたいに、スピード違反を1キロオーバーから取り締まる社会になったら絶対嫌だね。
山口 いや、日本人が"無法の中の秩序"を持ってた頃ならともかく、今は違うんだから、ドイツみたいなキッチリした社会にしないと。
清水 そんなこと言ったって、多少ザルなのが日本の風土であり、国民性なんだからさ。まあいいじゃない、ETCは確かにコストが高いけど、高速道路利用者を、以前より確実に幸せにしたんだから。
山口 ‥‥じゃあですね、ETCゲートを20キロ以下で通過すればちゃんと割引するけど、21キロ以上は割引しません、50キロ以上は5割増にします、っていうのはどうです?
清水 それはいいね! それをやったら絶対みんな20キロ以下で通るよ。日本の風土にバッチリ合った改革案だ。

(結論)
ETC反対派の根拠は、もはや精神論と化している。
もちろん多少の問題はあるが、この世に100点満点のものなどないわけで、現状、ETCを使わないのは、変わり者か怠け者と言っていいのでは?(清水)

 

(解説)

 さすがに近年はETCに反対している人はほぼ皆無になり、この対談も笑い話として読めるだろう。しかしつい1年半前まで民主党は、「ETCは利権だから廃止する」と明言していた。そんな浮世離れした政党が現在政権を担っているのだということは、忘れてはいけないだろう。


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高速道路問題 2005年11月 首都高長谷川会長インタビュー

日付/2011.02.27



<2005年11月 週刊SPA! より>

 10月1日、道路公団が民営化された。そのうち首都高速道路公団改め首都高速道路(株)の会長には、トヨタ自動車の元専務・長谷川康司氏が就任した。
 ムダだらけと言われる道路公団の一角のトップに、合理化&コストダウンの権化・トヨタ出身者が就いて、どういった改革を進めてくれるのか? 単刀直入に聞いてみようじゃないか。
       ☆
清水「長谷川さんは、トヨタではどのような部署におられたんですか」
長谷川「私はね、ずっと海外営業担当だったんですよ」
清水「じゃ、トヨタのコストダウンの中核である製造工程には、タッチしてらっしゃらなかったんですね」
長谷川「いえ、トヨタは営業もコストダウンの権化ですから(笑)」
清水「海外営業というと、ずっと海外赴任ですか」
長谷川「私は21年間、東京本社にいました。ですから首都高については、ずーっと一利用者だったわけです」
清水「じゃ、首都高の実態は把握されているわけですね?」
長谷川「もちろんです。北米とかね、短期の海外赴任も何度かありましたから、あっちのハイウェイがいかにすばらしいかも知っております。ところが成田へ帰ってきて、クルマに乗ると、首都高で必ず渋滞でしょう。なんとかならないものかと、いつも思っていましたよ」

収益よりお客様が第一

清水「私も当然、なんとかならないかとずーっと思っていて(笑)、5年前に『首都高はなぜ渋滞するのか!?』という本を出したんですが、読んでいただけてますか?」
長谷川「いえ、まだです。是非これから読んで勉強させていただきます。そういう前向きな提言は、本当にありがたい」
清水「具体的な渋滞緩和策を盛り込んであって、今でも十分役に立つはずだと自負してます。ただ、首都高には渋滞緩和という巨大な課題がある一方で、今後は民間会社として収益の改善をしなければならない。このふたつは、相反する課題なわけですが」
長谷川「その通りです。ただ私はね、お客様のご要望にお応えすることが先だと思ってます」
清水「つまり、まず渋滞緩和を目指すということですか?」
長谷川「そうです。お客様をおいてきぼりで、収益の改善なんてありえませんよ。まず、今より満足していただくことが先決です」
清水「具体的には」
長谷川「これはね、ネットワークを充実させるのが第一でしょう」
清水「中央環状線の全通ですね」
長谷川「そうです。中央環状新宿線の方は、もうメドが立っていますし、品川線も、必ず認可していただけると思ってます」
清水「確かに中央環状線の全通以外、抜本的な渋滞対策はありませんよね。ただ、私は何度も指摘しているんですが、中央環状線の板橋―熊野町間約1キロが、4車線+4車線が合流するにもかわらず、8車線ではなく6車線で建設されています。これでは、箱崎や小菅―堀切間の悲劇が繰り返される。このままじゃ中央環状線は、まともに機能しませんよ」
長谷川「おっしゃる通りだと思います」
清水「そう思いますか!?」
長谷川「思います。そういった点は、全力で解決に努力します」
清水「‥‥都市計画を変更して拡幅するのは、長期間にわたる大変面倒な手続きが必要だとは思いますが」
長谷川「とにかく全力でやる。これ以外解決法はないですから。会社をよくするためには、まずいけないところをあぶりださなきゃいけません。ダメなところは、全部明らかにしていって、その改善に全力で当たりますよ」

高架下にラーメン屋を出す気概で

清水「首都高の場合は、地方路線と違って、交通量を増やそうにも増やせない。SAの充実も難しいですよね」
長谷川「そうなんです。地方なら土地がありますから、いろいろな策があると思うんですが、首都高の場合は難しいんです。しかしね、たとえば高架下でラーメン屋を開くとか、なにかしらできることはあると思うんですよ」
清水「ラーメン屋くらいじゃ、ほんの微々たる収益にしかならないでしょう」
長谷川「そうです。料金収入に比較したら、ほんのわずかです。しかしそれでも、そうやって前向きにやっていくしかないんです」
清水「逆に、合理化やコストダウンの方は、ずいぶん余地があるんじゃないですか」
長谷川「うーん、ただねえ、それについては、こっちへ来てみて驚いたんですが、もうかなり真剣に取り込んでおったんですよ。建設費も、いろいろなコストダウン策が進んでますし、管理費の方も、厳しくやっとったんですね」
清水「しかし、談合などもあったんじゃないですか」
長谷川「それはもう民間会社ですから、しっかりとやっていきますが、土木建設というのは、遺跡が出たとか岩盤に当たったとか、自動車作りと違って不確定要素が大きいですし、ただ叩けばいいというものでもないですから、なかなか難しい面はあります‥‥」

距離性料金への移行は?

清水「それから、目前に控えた大きな課題として、ETCを使った距離性料金への移行がありますが」
長谷川「そうです。これについては、以前から均一料金は不公平だという声が強かったですし、民営化以前から、政府の申し合わせとして、距離性への移行を図るこということが決まっていましたし、今は、平成20年度の導入を目指して、初乗り210円+1kmあたり31円という料金体系を叩き台に、みなさんのご意見を聞いている段階です」
清水「確かに距離性にすれば、混んでいれば途中で降りようという人が増えるし、長距離客からは多くの料金を取れるし、公平性は増すし路線の均一利用も進んで、渋滞緩和にも役立つと思いますから、私は賛成です。ただ、距離によっては、いままでの2倍以上の料金になってしまうところがあるのと、ETC非装着車をどうするのかという課題がありますね」
長谷川「そうなんです。まだ何も決めたわけではなく、まずご意見を聞こうということです。しかしいずれ、距離性には移行しなきゃなりませんから、ご理解の得られる案を模索してるわけです」
      ☆
 話を聞くと、長谷川氏は実にフランクで、さまざまな問題点を真正面から捉えていた。一番心配だった公益性の確保、つまり渋滞緩和についても、トヨタ的な「品質の改善」と捉え、第一に取り組むと約束してくれた。
 文句ばかり言っても、世の中良くならない。前向きな経営者の下再出発した首都高を、利用者の側も前向きに見守りたい。

 

(解説)

 道路4公団が民営化され、首都高にはトヨタ出身の長谷川氏が会長に就任した時のインタビュー記事。現在も首都高と阪神高速は、距離別料金制の導入という大きな課題を抱えたままだが、そこには、45年以内の債務完済と顧客サービスのバランスをどう取るかという巨大な問題が横たわっている。値上げすれば渋滞は緩和されて料金収入は増えるが、世論は容赦しない。値下げすれば渋滞が増加してこれもまた利用者の不満は高まる。私としては、ポピュリズムに与せず、距離別料金の導入で合理的な料金体系を適度な渋滞緩和を図るべきだと考えている。現在国交省が方針にしている「料金圏なしの500~900円」案では、長距離があまりにも安くなりすぎる。値下げの害悪を指摘しないのは、メディアとして無責任だ。


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高速道路問題 2004年1月 猪瀬×清水 民営化総括対談

日付/2011.02.25


<2004年1月 週刊SPA!より>

 新聞の見出しだけを見ていて、道路公団改革は失敗に終わったらしいと思っている人が多いようだ。しかしそれは違う。民営化の効果は、まずサービスエリア等のサービスの劇的向上に現れ、数年後にはいくつものSAに日帰り温泉が開業するなど、狂乱のサービス合戦になっているはずだと予言する。そのとき初めてみんな、国鉄分割民営化のように、あれはけっこうな改革だったとわかるんじゃないだろうか。民営化を実現した猪瀬直樹氏を直撃した。

民営化政府案は70点弱

清水 猪瀬さんは、今回の政府案を100点満点の69点と評価してましたよね。実は僕は68点で、偶然ものすごく近い。
猪瀬 気持ち的には69点なんだが、世間の評価が厳しいからな。まあ、優・良・可・不可の可ではあるだろうと。
清水 いや、僕は良は上げられると思ってます。なんせ、完璧じゃないにせよ、これだけの大改革が実現したんだから。そのことを大マスコミは理解してないんだか、わかってて隠してるんだか、あの論調はひどすぎる。だって、民営化自体、想像すらしなかったことですよ。
猪瀬 俺も、本音を言えばさ、2年前には、民営化できるなんて思ってなかったよ。
清水 なのに、桜井よしこ氏の「これでは改悪だ」なんてのは、いったいなにを考えてんのか? 言ってることがハチャメチャだ。単なるヒステリーとしか思えない。
猪瀬 でも、俺がそうは言えないだろ。
清水 確かに猪瀬さんが今、政府案を合格点だなんて言ったら、袋叩きにあうでしょうね。だからせめて、日本の高速道路約6500キロプラス、建設中路線約2000キロを実走検証してる僕が、国民に代わって猪瀬さんにお礼を言いたい。68点つけられる政府案になったのは、猪瀬さんのおかげだ。
猪瀬 君みたいに実際走ってる人がいないんだよ。君の『フライデー』の記事、あれは民営化委員会に資料として提出したから。君の『この高速はいらない』って本も、松田委員に渡した。読んだ方がいいですよって。
清水 ありがとうございます(笑)。
猪瀬 でも、読んだのかな。
清水 読んでないですか。ガックリです。もっと国の役に立ちたかったのに(笑)。

分割案はあれがギリギリだった

猪瀬 僕も君ほどじゃないけど、相当クルマで走ってるんだよ。仕事で日本中行くからさ。そういう人が他にいない。民営化委員でも、大宅映子さんは自分で運転してゴルフに行くらしいけど、あとは後部座席の人だからな。小泉首相の人選に問題があったかもな。
清水 せめて免許くらいは持ってんの? と問いたいですね。そういう人が高速道路行政を決めるんだから、ドライバーとして参りますよ。ところで、猪瀬さんにうかがいたかったのは、なぜああいう地域分割案になったのかということです。猪瀬さんが2年前に行革断行評議会で出した分割案は、東名と中央や山陽と中国など、並行路線は別会社で、お互いに競争原理が働くようになっていた。僕もあれに類した分割案をSPA! で出しました。でも、委員会が答申したのは、JRのような地域型だったじゃないですか。僕はあれに一番失望したんですが。
猪瀬 だってさ、田中委員など他の委員が、分割自体に反対だったんだぜ。あれ見せても、まったく受け付けないんだから。
清水 はあ。
猪瀬 それに国交省がすごく嫌がったんだよ。路線型の分割は前例がないとか、今の道路公団の支社の範囲がバラバラになるとかさ。
清水 そういう組織防衛ですか。
猪瀬 路線型の分割はとても通せなかったから、それじゃせめて3つに分けようって提案したんだ。NTTみたいに2つじゃだめだと。
清水 うーむ、そうですか‥‥。森永卓郎さんも「競争原理の有無が一番重要」って指摘してるし、あれが最大のポイントだったんですけどね。分割案に関しては、猪瀬さんにもうちょっと突っ張って欲しかった。
猪瀬 だから3分割にしたじゃないか。あれも最後、危なかったんだ。国交省は2分割を画策してただろ。それをなんとか、あそこまで持って行ったんだ。
清水 猪瀬さんの"フィクサー的な働き"でですね。
猪瀬 フィクサーって言うと聞こえが悪いんだよな。でも、意見書を放り投げて「これでやって」と言うだけじゃ、世の中動かないんだから。それでいいなら楽だよ。

猪瀬氏の「フィクサー的活動」に感謝

清水 まったくその通りで、猪瀬さんがフィクサーとして汗を流してくれたからこそ、ぎりぎり合格点を出せる政府案になったんだろうと思うんですよ。僕は猪瀬さんのフィクサー活動に心から感謝したい。
猪瀬 政府案決定直前に近藤さん(日本道路公団総裁)と密会したとか言うけど、なんでそれがけしからんのかね。あそこで僕は近藤さんに、料金値下げを直談判したんだ。夜間割引や過疎地の路線の3割引をやってくれと。それを民営化前にやってくれと。
清水 過疎地は3割引じゃダメですね。せめて5割引じゃないと。
猪瀬 もちろんその方がいいよ。でも、政府案に値下げを謳わせることができたのは、ものすごく大きいんだぜ。JRだって、国鉄時代から値下げはしてないんだから。
清水 確かにそうだ。それを"黒幕的行動"と批判する人がいる。辞任したふたりの委員が正義で、妥協した猪瀬さんは悪者みたいに扱う。それは全然違うだろ! と言いたい。
猪瀬 これは妥協じゃないんだよ。俺は説得に回っただけで、いわば陣取り合戦だったんだよ。妥協ってのは権限のある者がやることで、俺には何の権限もないんだから。権限も何もないボランティアだよ。本当にストーカーのようにしつこくしつこく言って、これだけ努力して、なんとかJHの3分割と値下げと建設自主権を分捕った。でも、誰もその成果を書かない。もうくたびれ果てて、息をするのが精一杯だよ(溜め息)。
清水 田中委員と松田委員が辞任したことで、民営化委員会は猪瀬さんと大宅さんふたりになってしまいましたが、今後は?
猪瀬 僕が辞めると白紙に戻されるかもしれないからな。辞めらない。分捕った陣地は、法案が通るまで守らないとな。

(解説)

 道路公団民営化政府案発表直後、その内容について猪瀬氏と対談したもの。当時大マスコミは「民営化は骨抜き」として猪瀬バッシングを繰り返していた。しかし実際には民営化が成功だったことは、7年後の今、証明されている。猪瀬氏の民営化に対抗して民主党が提出した無料化案が、いかにいい加減なものであったか、それもまたようやく理解されつつある。ものの本質がわからない大マスコミには猛省を促したい。


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