
<2006年6月 週刊SPA!より>
便利で楽チン、各種割引も充実しているETCの利用率は現在約61%。かなりの数字になったが、逆を言えば、4割もの人がいまだ有人ブースを利用中。単純に、ナンデ? アンチETC派・山口宗久氏の言い分を、黎明期からのETCユーザーであるMJセンセイが聞く!
清水 山口さんは、今どき珍しいETC反対派だって聞いたんだけど、なんでまた? やっぱり「飛行機みたいな重い物が空を飛ぶはずない」とか、そういうアレですか?
山口 あはははは。いや、いろいろありますけど。
清水 まだETC付けてないの。
山口 付けてません。
清水 モータージャーナリストやってて、それは凄い! 国宝級だ。
山口 ありがとうございます(笑)。僕が納得できないのは、まずETCを統括してるORSEっていう天下り団体、あれは怪しいでしょう。甘い汁を吸ってるんじゃないですか。
清水 ORSEは、セットアップ料のうち500円を取り分にしてたんだけど、猪瀬直樹さんが噛み付いてから、ずっと取ってないんですよ。
山口 還元キャンペーンでしたっけ。まだやってますよね。
清水 あれはORSEの収入の柱なんで、もう甘い汁もクソもないんだよね。今はこれまでの内部留保を放出して還元キャンペーン続けてるけど、近いうちスッカラカンになる。
山口 そうなんですか?
清水 ORSEは猪瀬さんの攻撃を受けて、甘い汁を吸えなくなっちゃったんだよ。それに、たかだか年間数十億円だし。そんなの、高速道路1キロ造ったら吹っ飛ぶ。首都高中央環状新宿線なら100メートルも造れない。
山口 それとこれとは話が違うでしょう! 僕はね、ああいう自動料金収受システム自体には賛成なんです。
清水 あそう。
山口 でも、今のETCは納得できない。このままなら、僕ひとりのためだけにでも、全国の料金所に収受員を置け、っていうくらい、最後のひとりになるまで抵抗したいですね。
清水 ‥‥いるんだよなこういう人が(爆笑)。
「海外には現行ETCより安いシステムがある」(山口)
山口 だって、公共インフラの主旨として、1万円も出して車載器を取り付けて、しかもクレジットカードを作らないと使えないなんて、おかしいですよ。清水さんみたいにフェラーリに乗れるような人はいいでしょうけど、1万円を出すのが大変な人もいるんですよ。
清水 それ言ったら何もできないじゃない! 新幹線にもグリーン席はあるでしょう。逆に東海道線の鈍行もあるわけだよ。1万円が出せないなら一般ゲートで払えばいいし、それも無理なら下道を走ればいいじゃない。山口さんが言ってるのは悪平等だよ。
山口 いや、仮に、あれ以上安いシステムが技術的に不可能なら仕方ないんですけど、海外にはもっとずっと安いシステムがあるわけじゃないですか。なら、システムごと海外から輸入してもよかったんじゃないですか。
清水 確かにETCはコストが高いよね。車載器も高いけど、ゲートも1基1億円とかするからね。親方日の丸で金に糸目を付けずに開発して、F2戦闘機みたいになってしまった部分は大いにあると思う。
山口 でしょう。
清水 でもね、今はもう、おおむね許容できる範囲じゃない? 僕が最初にETCを付けた頃は5万円近くしたし、料金割引もなかった。それが今は1万円くらいになって、割引もいろいろあるんだから。ETCの方が得になったから普及が進んでるわけで、市場は正直だよ。それに、誤作動もほとんどない。ドイツのアウトバーンが大型トラックに義務付けたトールシステムって、トラブル頻発で運用を中断したりして、大変なんだよ。
山口 そうなんですか?
清水 確かに日本のETCは高いけど、信頼性が高くて快適で、それにあのおかげで料金所渋滞がほとんど解消したんだから。一般ゲートを使ってる山口さんだって、その恩恵を受けてるでしょ?
山口 まあ、受けてますね。
清水 じゃ、いいじゃない。付けた人も付けてない人も、ETCで幸せになったんだから(笑)。
山口 いや、納得できない(笑)。ETCって危ないじゃないですか。
清水 まあ、危ないな、と感じることはあるね。大型トラックがゲートでほとんどスピードを落とさないとか。あんなのが後ろにいて、もしカード入れ忘れとかでこっちが止まっちまったら、目も当てられない。
山口 でしょう。20キロでスルーできるっていうのが間違ってますよ。一旦停止にすればいいんですよ。
「高速道路の利用者はETCで確実に幸せになった」(清水)
清水 でも、現実的にはさ、ETC関連の事故って少ないんだよね。
山口 3年間で人身事故が12件。
清水 ものすごく少ないじゃない。
山口 でも、料金所手前で椅子取りゲームみたいなことになって、われ先に突っ込むでしょう。あれもすごく危ないですよ。
清水 あのくらいはあった方がいいんだよ。あ、危ないな、って思うから事故が少ないんだから。
山口 それは目茶苦茶だ!
清水 高速道路の事故って、危険を全然感じずにボーッと運転してる人が起こすケースの方が多いじゃない。あの程度の交通の混乱は、イタリア人の運転に比べれば全然問題ないし、僕は逆に楽しいねアハハハハ。
山口 僕はね、ゲートでは20キロ以下に落とせっていう決まりが、全然守られてないことが許せませんね。日本って、いつもルールがなし崩しになって、破るのが当たり前なってしまうでしょう。
清水 それが日本の風土で、一種の美風なんだよ(爆笑)。
山口 そう来ますか!
清水 日本がドイツみたいに、スピード違反を1キロオーバーから取り締まる社会になったら絶対嫌だね。
山口 いや、日本人が"無法の中の秩序"を持ってた頃ならともかく、今は違うんだから、ドイツみたいなキッチリした社会にしないと。
清水 そんなこと言ったって、多少ザルなのが日本の風土であり、国民性なんだからさ。まあいいじゃない、ETCは確かにコストが高いけど、高速道路利用者を、以前より確実に幸せにしたんだから。
山口 ‥‥じゃあですね、ETCゲートを20キロ以下で通過すればちゃんと割引するけど、21キロ以上は割引しません、50キロ以上は5割増にします、っていうのはどうです?
清水 それはいいね! それをやったら絶対みんな20キロ以下で通るよ。日本の風土にバッチリ合った改革案だ。
(結論)
ETC反対派の根拠は、もはや精神論と化している。
もちろん多少の問題はあるが、この世に100点満点のものなどないわけで、現状、ETCを使わないのは、変わり者か怠け者と言っていいのでは?(清水)
(解説)
さすがに近年はETCに反対している人はほぼ皆無になり、この対談も笑い話として読めるだろう。しかしつい1年半前まで民主党は、「ETCは利権だから廃止する」と明言していた。そんな浮世離れした政党が現在政権を担っているのだということは、忘れてはいけないだろう。







