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高速道路問題 2003年12月 民営化前、最後の雄叫び

日付/2011.02.23




<2003年12月 週刊SPA!より>

 ここまでの道路公団民営化論議は70点、2年前からすれば夢のようだった。小泉首相と猪瀬直樹氏には本当に感謝してます! しかし最後に、これだけは言わせてもらいたい!


 この年末、道路四公団民営化法案の骨子が固まる。00年5月に『首都高はなぜ渋滞するのか!?』、03年8月に『この高速はいらない』を出版した私としても、総決算の時期だ。この場を借りて、最後に言いたいことを言わせてもらう。

 民営化委員会は道路公団の借金返済を、道路族は自分たちの地位を最優先しているが、私はあくまで道路利用者&一国民の立場から言わせていただく。と言っても、いまさら理想論を言っても始まらないので、現実的なことに絞る。

「せめてJHは3分割しろ!」
 すでに首都高速道路、阪神高速道路、本州四国連絡橋の3公団は、「地元自治体の出資があるから」という理由で、そのままの範囲で民営化の流れだ。赤字タレ流しの本四公団については、国鉄のように債務を棚上げして、税金で穴埋めすることになるだろう。嘆かわしいが、旧国鉄の債務が24兆円だったのに比べれば、本四は4兆円程度。わかった、許す! ただし、日本道路公団(JH)については、せめて民営化推進委員会の答申に沿って、東、中、西の3社に分割しろ!

 1年前に本誌で述べたように、理想としては、仙台から鹿児島まで並行する幹線高速を別々の会社に振り分ける地域分割を実行して、並行路線同士で競争原理が働くするようにするのが望ましいが、死児の齢を数えても仕方ない。あきらめる!
 ところが国交省は、「当面は一体のまま民営化、経営安定後に2分割」などという、何の意味があるんだぁ! という分割案を画策している。NTTは東西に分割されたが、あれ、なんか意味あったか!?
 せめて、せめてだ、東京からだと、常磐・東北・関越方面は東日本会社、東名・中央は中日本会社というように、方面別の競争が働くようにしなければ、分割する意味そのものがない。あの分割案だと、東名・中央・名神・名阪をかかえる中日本会社にドル箱路線が集中するが、第2東名・名神建設という重い負担があるので、バランスは取れている。最低限、3分割だけは譲れない!

「ガラ空き路線は値下げで役に立てろ!」
 いま日本全国21カ所で、高速道路や有料道路の料金値下げ社会実験が行われている。実験的に料金を半額程度に下げて、どういう効果が現われるかを見ているわけだ。
 もともとバカ込みの首都高ETC夜間割引は、体感できる効果はないが、地方のガラ空き路線では、効果絶大だった。料金半額にしたことで交通量が2倍近くに増え、その分一般道の渋滞が緩和されたケースが続出している。比較的わずかな減収で、穀潰し路線が社会のお役に立つことが証明されたわけだ。
 民営化推進委員会は、猪瀬直樹氏らが借金返済最優先の立場で臨んだため、「1割程度の料金値下げ」と言うに止まったが、1割なんぞじゃ屁にもならない。半額とか、7割引くらいでなければ、ガラ空き路線は役に立たない(逆に混雑路線の料金は値上げしたっていい)。
 右下の地図のように、交通量によって4段階程度に値下げの料金設定をして、既存ストックを有効活用する道を探るべきだ。


 しかし、民営化されれば、民間会社は利益の追求が第一となり、こんなことは無理。つまり、料金設定については、民営化前に交通量に従った大幅値下げを断行し、シバリを課す必要があると考える。税金から減収分を補填するのも許す! 造っちまったものは役に立てなけりゃ意味がない!

「いる高速・いらない高速はハッキリしている!」
 11月28日、国土交通省は、未完成高速道路の個別路線ごとのランク付けを発表した(左上表参照)。
 日本全国の高速道路建設予定路線を走破した私の評価算定と、国交省の評価を比較すると、3割くらい「なんじゃこりゃあ!」という場所がある。たとえば北海道の夕張ー十勝清水間。私の評価ではワースト5位だが、国交省はすべて「B」。なぜだ! 一般道でも平均67キロで走破できたぞ!
 道民は「冬の日勝峠は危なすぎる」と言うが、北海道開発局が常に莫大な費用をかけて除雪しており、冬でもほとんど不便は感じないじゃないか。道民は完全に甘えている!
 国交省の4段階評価は、しょせん国交省のデータを元にしており、信用できない部分がある。しかしそれでも7割程度は許せる。再度精査して、優先順位をはっきりさせ、必要なところは造る、必要ないところは造らないと決めるべきだ。

 ただし、必要な路線でも、採算が取れそうなのは北関東道と館山道の2路線程度で、あとはすべて赤字が必至。そんなものを民営化会社が建設できるはずはない。経営を最優先すれば、新規建設など一切しないのが一番なのだ!
 しかし首都高のように、相変わらず渋滞しまくっているところを放置するわけに行かない。首都高が民間会社になったら、絶対採算の取れない中央環状線に1兆6000億円も投資するわけがない。そのことをみんな、わかっているのか?

 つまり、必要な路線の建設のためには、路線ごとに民営化会社と国・地方自治体とで建設負担割合を決定する「一般有料道路方式」や、料金収入の2割程度を建設に回すなどの抜け道が必要になる。大マスコミはそれを「骨抜き」と騒ぐだろうが、それをやらなければ大都市部の渋滞は永遠に放置される。赤字路線イコール無駄ではない。要るものは要る、要らないものは要らないだけだ!


(解説)

 いよいよ道路公団民営化の政府方針が発表される直前の時期に、最後の遠吠えとして誌面で主張を吠えまくった時のもの。結局この3項目は、なんらかの形では実行に移された。3分割は猪瀬氏の尽力で最後のどんでん返し的に実現したし、ガラ空き路線の値下げは地方路線の無料化社会実験として実施されている。不採算の必要路線の建設は、外環道の合併施工という形で(現在は民主党が半分ストップをかけたままだが)。