
築地の撮影現場で初めて対面した日本のナンバー付きのグラントゥーリズモSは、強烈な存在感を放ちつつも、不思議と場外市場の空気に馴染んでいた。私が「洗練されたイタリアのオロチ」と呼んでいるその顔つきは、(大蛇+サメ)÷2というところで、極めて獰猛かつ優美だが、明らかに生き物的であるが故に、三枚に下ろして食っても美味そうだからだろう。
右のバドルを1回引いて1速に入れ、軽くアクセルを踏んで発進。おおお、なんというスムーズな発進だ。430スクーデリアを思い出すぜ。それでいてアクセルレスポンスは適度にとっぽく、思い描いたよりもほんの少しだけ加速が先行して、ドライバーの興奮に応えてくれる。
たぎる血を抑えて、まずはシフトパターン「オート・ノーマル」にてゆるゆる流す。ほとんどトルコンATと遜色ないラクチンさじゃないか。首都高に入るとボタンを押してマニュアルモードに。さらにトンネル突入と同時にスポーツモードのスイッチを押した。
「コオオオオオオオオオ~」
来た、爆音スイッチ! エクゾーストシステムのニューマチックバルブが開放されてサウンドが激変、瞬時に世界がモナコのトンネル内に変わる。さすがにフェラーリよりは若干控え目なれど、跳ね馬の心臓を譲り受けし者の高貴な雄叫びが壁にガンガン反響して全身に鳥肌が。ヤバイ。(『NAVI』08年10月)







