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フィアット アバルト グランデプント

日付/2009.10.17



 いきなりこのルックスを見ただけでヤラレた。カッコいい。カッコよすぎる。
 まず色使いのセンスが違う。ホワイト地にアバルトの赤いストライプに心が沸き立つ。ドアミラーの赤がまたステキすぎ! これがアバルト伝統の色使いなのか。ああ、イタリア人はなぜこんなにオシャレなんだ。イタリア盲信者である私は、ただ漠然と「やっぱりイタリアはスバラシイなぁ」と絶賛するのみ。盲信なので完璧に正当化できる。
 ちなみにボディカラーは、この白の他に赤と黒の3色。このクルマ、白と赤と黒のコントラストが最高に映えるので、この3色以外に設定がないというのも全面的に正当化できる。
 スタイリングの印象も最高です。専用デザインのフロントバンパーは、実にさりげなくイタリアの情熱を表現し、ブラックアウトされたアンダーボディが適度に印象を引き締め、黒いルーフスポイラーは涙が出るほど絶妙に小さい。かつての"本物のアバルト"の850TCあたりは、イタリアの小さなチバラキと呼びたいほどバリバリのヤル気系だったけど、現代日本ではこのアバルト・グランデプントくらいの、さりげないやる気感が最高にオシャレさん。インテリアも以下同文だ。エクステリアと同じく、パーフェクトにオシャレに決まってる。いちいち書くのは省略しますが、とにかくすべてがステキなので心配は無用です。

 で、アバルトの命であるエンジンは、1・4リッターターボ。この設定もイイじゃないか。2代目プントに日本市場で設定されていた「1・8HGTアバルト」の1・8リッターNAエンジンは、ただ排気量をデカくしただけでまったく眠く、本物を知らない私でも「どこがアバルトじゃ」と言いたくなったが、今度はランチアとも共用する小排気量ターボなのだ。かつてのかんしゃく玉のように炸裂するメカチューンNA(乗ったことないですが)ではないけれど、ただ排気量がデカいダメダメ君よりずっといいし、夢とロマンにあふれてる。なにしろイタリアもんは気分ですから! ミッションは当然MTのみの6速。左ハンドルだけというのもいかにもイタリアですね。
 その他のチューニングポイントとしては、足回りがスポーティに固められ、トレッドは若干拡大、車高は若干ローダウン。ブレーキはアバルト専用の4ポッドキャリパーへと大幅に容量アップされている。

 走り出してみてニヤリ。ああ、これが現代のアバルトなんだね。この極端なほど軽い電動パワステ、イタリア人はパッパ切れる軽いステアリングがお好き。足回りは実に適度にスポーティに決まってる。本当に適度、決して本気仕様じゃないところがニヤリだ。もっとスポーティなSS(エッセエッセ)仕様は相当ハードだと聞くけれど、こっちは気分で楽しめるスポーティさで、オールマイティに乗り倒せる。ブレーキがまたオーバーサーボ気味で、軽く踏み込んだだけで猛烈に効くように感じさせる。なんて楽天的な仕上がりなんだ。この軽さが許されるのはイタ車だけ!
 エンジンはとってもスムーズに回る。低速トルクを確保しつつ、回転を上げてブーストをかければイタリアンにパワフルだ。イタリアンにパワフルというのは、気分的には速いけれど、実際にはそれほどでもないということ。ドライバーの気合でカバーする必要があるところがうれしいっす。

 インパネ中央にある「パワーブーストボタン」も子供っぽくて最高! 押すと10%以上パワーアップするというけれど、正直、短時間の試乗では、その差がはっきりわからないほど微妙でした。考えてみれば、10%のパワー差をカラダで認識するのって、結構シビアじゃないですか? でも、ボタンを押せばパワーアップする! と信ずる者は救われる。そこがイタリアンなパワーフィールだよね。
 ついでに、ボタンを押すとステアリングフィールもクイックになるのだが、これまたあくまで「フィール」です。フィーリングがすべてですからイタリアもんは! このエーカゲンさが好き。
 かくのごとくアバルト グランデプントは、イタリアンにオシャレ気分なホットハッチなのでした。たとえばアルファロメオの現行ラインナップと比べても、いろんな面でイタリア濃度が濃い目で、それでこの価格は、相当お値打ちだと断言できる。同じエンジンを積むアバルト500も楽しみですね。(『NAVI』09年5月号)